In the Month of the Midnight Sun セシリア・エクバック(Cecilia Ekbäck)
スウェーデン内陸部ブラッカセン山を仰ぐ小さな村。教会で3人が殺害される事件が起こり、犯人とおぼしきラップ族の老人が逮捕された。先住民の蜂起を恐れた法務相は養子である地質学者マグヌスに現地調査を命じ、同時に、頭痛の種である娘ロヴィサを同行させて厄介払いを目論む。
到着した村は謎めいた雰囲気に包まれていた。子どもの姿が見あたらず、住民はマグヌスの質問に固く口を閉ざす。そして教会脇ではラップ族の老婆が一人きりでキャンプ生活を送り、村はずれには彼らが作った迷路。いったいこの村はどんな秘密を抱えているのか…
基本は事件の真相を探るミステリー。調査の進展と共に、村で起きた過去の忌まわしい事件とラップ族の集団で起きた事件が交錯し合い、悲劇の連鎖が続くことになります。
謎解きの楽しみとは別に、まず、白夜の北極圏という日本人の私には完全に異世界な舞台そのものに強く惹きつけられました。そしてあの世から語りかけるラップ族シャーマンがもたらす呪術的な雰囲気。「ツイン・ピークス」ほどあざとくはないけれど、読み手の興味を逸らさない設定にまんまとはまってしまったのでした。
彼の地で図らずも出自の秘密を知ってしまったマグヌスと、生き延びるために文明社会から身を隠すことになるロヴィサのその後が気になります。
謎解きはなくても構わないので、2人のその後を、そして村のその後を書いてほしいと思うのでした。
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