Un gato lo vio −猫は見た

映画やらスポーツやら小説やら、あれやこれや。
<< June 2017 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>

僕とカミンスキーの旅

カンディンスキーと混同しそうな名前、そして各界著名人(ピカソ、ダリ、ビートルズ等々)と共に収まった写真の数々。予告編を見た後で「カミンスキー」と検索した私は、既に欺されていたのでした。ははは、こういうの大歓迎です。

そんなウソの匂いが紛々、さらに登場人物たちは鼻持ちならない癖のある人物ばかり。なんだか、現代アートシーンを揶揄しているみたいだな。

キャリアはないけれど、名を上げたくて仕方ない自称ジャーナリストのツェルナー君。図々しいくせに妙にナイーブな性格が人をイライラさせます。けれど、妙なことにカミンスキーは彼を「唯一の友だち」と感じてしまうからあら不思議。

実はこの二人、年の差と立場の違いこそあれ、成功したいという強烈な欲望や愛する女性に逃げられるという境遇が瓜二つ。カミンスキーはツェルナーに若い頃の自分を見ていたのかもしれません。

初めて海を訪れたカミンスキーが暮れゆく浜辺に座り込んで動こうとしないシーン。成功した後、世間に忘れられゆく境遇を示しているようで、もしかすると似たもの同士のツェルナーも同じ運命を辿るのかも。ばかばかしい映画の最後はほろ苦く締められているのでした。

サイトはこちら

 

JUGEMテーマ:映画

映画 | permalink | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |

学生たちの道

1943年、ドイツ軍占領下のパリ。17歳の高校生バリー君は品行方正を装いながら、親の目を盗んで親友ポールとやんちゃのやり放題。年上の女といちゃつくわ、闇商売で大儲けするわと、一人前を気取っているのですが、やがて家族に嘘がばれ、親子関係がこじれることに…

若きアラン・ドロンの瑞々しさが眩しいコメディタッチの成長物語でした。親子関係を巡る葛藤もありますが、そのテーマを掘り下げているわけではなく、あくまでドロン(そして相方フランソワーズ・アルヌールなど)の存在そのものがこの映画の見どころだと思います。

それにしても、ナチス占領下だというのにパリジャンは楽しそうに日々の生活を送っています。物資は不足気味ですが、それでもカップルがドイツ兵の前でいちゃついてみせたり、レストランで敵将と共に酒を酌み交わしたりするんですよ。実際にそんなことが可能な雰囲気だったのかな?

 

JUGEMテーマ:映画

映画 | permalink | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |

ドン・キホーテ  セルバンテス

遍歴の騎士が活躍する小説を読みすぎて、現実と虚構の区別がつかなくなったドン・キホーテ。自分も悪を正す正義の騎士になろうと、やせ馬ロシナンテ、従士サンチョ・パンサを伴にドタバタ劇を繰り広げるのですが…

物語に深みがあるわけではなく、滑稽な登場人物が次から次へと事件を巻き起こす娯楽長編。様々なエピソードをある一定量にまとめた連作短編集のような体裁でしたので、気楽に読み進めることができました。

そもそも、「遍歴の騎士」とは、正義を求め、乙女の純潔を守る者だそうで、闘いにおいては想い姫の加護を求める慣わしなんだそうです。

しかし、いつもは良識あるキホーテさん、こと騎士道となると完全に常軌を逸してしまい、誰を見ても騎士か悪人にしか見えない。正義を遂行するどころか、人の持ち物を奪ったり、葬列に襲いかかったりと、やりたい放題。しかも、ことごとく打ちのめされ(歯は全て折れ、肋骨も骨折…)てしまうのですが、自業自得だよなあ、と全く同情できないのでした。

有名な風車のエピソードは最初に登場。しかも実ににあっけない内容で、その後に巻き起こる珍事件に比べれば印象が薄いですね。後半はとある宿屋に集まった人たちの冒険譚が中心で、キホーテの影は薄くなります。

娯楽の少なかった昔(発表は1605年)を想像すれば、冗長な説明さえ歓迎されたのでしょう。一日の終わりにみんなが集まり、文字を読める人が一章ずつ読み進めて楽しんだのではないか、そんな気がする迷作(?)でした。

 

JUGEMテーマ:読書

小説(あるいは読書) | permalink | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |