リスボンに誘われて
人生の退屈さに失望するスイスの高校教師ライムントは、偶然手に入れた書物に心奪われ、若くして亡くなった著者の生涯を知ろうとリスボンの関係者を訪ね歩くことに。やがて明らかになるのは独裁政権下で闘ったレジスタンス同士の友情と裏切り。同志の間に何が起きたのか。
全貌を明らかにしたライムントは、疑心暗鬼に陥って関係を断絶した同志たちの心を再び結びつけてくれたように思います。一方、彼らの人生に比べて、やはり自分の人生は無意味で退屈だと失望の念は深まるばかり。
しかし、ライムントは衝動的にリスボン行き列車に飛び乗ってしまう情熱家の一面を持ち合わせています。現地で調査の手助けをしてくれた女性が熾火のようにくすぶっていたライムントの心の熱に惹きつけられ、魅力的な提案を投げかけたことがその証しです。
決して退屈なだけの人生などない。ライムントと共に静かに励まされるエンディングでした。
それにしても、作者の生涯をたどりたくなるほどに1冊の本に深く共感したことがあるだろうか? 私の情熱はライムントに遠く及びません。
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