悪徳の栄え
ドイツ軍占領下のパリで対照的な生き方を選んだ2人の姉妹。姉、ジュリエットはナチス高官らの愛人としてしたたかに戦時を生き抜こうとし、妹、ジュスティーヌはレジスタンスの道を選びながらも連行され、ドイツ高官の「館」で娼婦として仕えることに。連合軍による解放を迎えたそのとき、姉妹の運命は。
権力を手にしようとする人間の浅はかさ、手にした力を行使せずにはいられな愚かさが見る者の神経を刺激します。欧州戦線の実写フィルムを挿入したモノクロ画面は、コントラストの美しさと共に、一種異様な迫力を備えていました。
撮影時19才だったドヌーブの瑞々しい美しさには思わず息をのんでしまいますが、汚れ役を演じたアニー・ジラルドの演技にも引き込まれました。
彼女の顔には、目をつぶりたくなるような環境下で、誇りを捨ててしぶとく生き抜く覚悟が見て取れます。同時に、意地悪い運命の前に屈してしまう予感におびえる気持ちもにじんでいます。
アラン・ドロンと共演した「若者のすべて」でも同じような役どころを演じていましたが、この映画では絶望感がいっそう深く表れていました。
そして、ラストシーン。悲惨ながら、美しく印象的だった。
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