隣の女
かつて恋人同士であったマチルドとベルナールは、求めれば逃げる、逃げれば求められるという消耗戦必至の組み合わせ。傷つけあって別れた後にそれぞれが伴侶を見つけて平穏な暮らしを送っていましたが、運命は意地悪だった。8年後にお隣さんとしてまさかの再会を用意しているのですから。
さあ、焼けぼっくいに火が付き、以前と同じくややこしい駆け引きが始まることに。やがて抜き差しならぬ事態に発展した2人の関係の行き着く先は…
男女関係に愛という価値観を持ち込むのは間違いかもしれない。結婚制度も人間という生物の特質には合わないような気がします。少なくとも、愛至上主義から脱した方が心穏やかに生きられると思うのですが。
関係者の全員を知るテニスクラブのオーナー、ジェーヴ夫人は、物語の最後にこう言います。「あなたと一緒では苦しすぎる。でもあなたなしには生きられない」という愛があるのだと。
マチルドとベルナールはまさしくそのような愛を生きたわけですが、愛こそすべてという価値観に絡め取られていなければ、あるいは、結婚制度が貞節を求めるものでなければ、あれほど苦しむことはなかったはず。情熱に身を委ね、一時の幸福を味わい、やがて冷めてしまうだけのことだったのですから。
誰が植え付けた価値観、誰が考え出した制度か知りませんが、罪なことをしてくれたものです。まあ、そのおかげで、さまざまま芸術も生まれたわけですが…
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