Un gato lo vio −猫は見た

映画やらスポーツやら小説やら、あれやこれや。
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竈河岸



「髪結い伊三次捕物余話」の14作目となる本作の発売と前後して、宇江佐さんの逝去を知りました。残念でなりません。

「幻の声」ですっかり虜になり、以来20年に渡って楽しませてもらいました。時代小説はずいぶん読みましたが、宇江佐さんの物語中で話される台詞ほど「乙に素敵」な江戸言葉は思いつきません。同時代に読むことができて「滅法界もなく幸せ」だったと、しみじみ思います。

「竈河岸」ではそれぞれの子どもたちが人生の節目を迎え、この先の展開がますます気になってしまいます。登場人物たちの胸の内をうかがわせる描写も一層冴え渡り、もっともっと読みたかったという思いが募る一方です。

宇江佐さん長い間ありがとうございました。あなたの時代小説が「いっち好き」です。
 
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1001グラム



重さの基準となる「キログラム原器」を保管する機関があるなんて初耳でした。しかも、各国が自国の原器を持ち寄って計測を行い、質量の変化を確認するなんてねえ。世の中にはいろんな仕事があるものです。

映画に登場した「ノルウェイ国立計量研究所」とフランスの「国際度量衡局」は実際の施設だそうで、これを見ているだけでもかなり楽しめます。といいますか、個人的にはこれがハイライト。



主人公マリエが離婚した夫と暮らしていた自宅インテリア同様、映画そのものも無駄を排したミニマルな画面がなんともおしゃれでした。その静けさの中にそこはかとないユーモアを漂わすところが独特ですね。

スキージャンプ台を測定したり、ガソリンスタンドでポンプの表示を確かめたりと、何かを測ることに長けているマリエさん。彼女がパリで見つけた愛の可能性はどれほどに膨らむのでしょうか? 最後に大事なものを計測し損ねる場面はおかしく、そして心が和みます。

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パリ・エキスプレス



犯罪組織の仲間割れに巻き込まれたバイク便ライダーのサム君。ただでさえ大変な一日を迎えようとしていたのに(恋人の妹の結婚式に出席予定)、ボーナスにつられて仕事を引き受けてしまい、悪人たちに命を狙われるわ、警察に追われるわ、不機嫌な恋人になじられるわの大災難。

果たしてこの困難を乗り切ることができるのか。きれいなお姉ちゃんにくらっとしてる場合じゃないぞ、サム君。

サム役のミカエル・ユーンを見るのは「シェフ」に続いて2回め。普段はさえないけど、ガッツのかけらくらいは持っているんだ、という役どころがはまっています。情けないやら笑えるやら。

結婚パーティーの会場に悪党共が乗り込む場面で、いきなりインド映画を思わせるダンスシーンが展開されるのには笑ってしまった。緊迫感をゼロにリセットしてしまう力業に脱力するも、最後は笑顔で拍手。すかっと爽やかなエンディングでした。
 
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Avenue of Mysteries ジョン・アーヴィング



おお、アーヴィング節が復活!
直近2作もそれなりにおもしろかったけれど、前へ突き進もうとする物語の力強さに欠けていたのが不満。
でも、最新作「Avenue of Mysteries」には大満足。不思議な登場人物のオンパレードです。いきなり物語の世界に引きずり込まれ、至福のひとときを過ごしました。

世界的人気作家のフアン・ディエゴは、古い知り合いとの約束を果たすため、自作のプロモーションを兼ねてフィリピンへ。ところが、服用する薬の影響ですぐに眠りに落ち、過去の出来事を夢に見続けてしまいます。彼はいったい現在を生きているのか、それとも過去を生きているのか。

人生はさまざまな人々との出会い、さまざまな出来事の連なりでその終点へと向かいます。当たり前のことですが、フアン・ディエゴの人生を俯瞰しながらその事実を再確認するとき、私たちはなんと不思議な世界を生きているのだろうと驚き、また、それが愛おしく感じられるのでした。

ああ、それにしても魅力的な登場人物たちよ。中でも私のお気に入りは妹のルペ。彼女は人の心を読み、未来の一部を予見する能力を授かります。しかし、彼女の言葉を理解できるのは兄のフアン・ディエゴだけ。
直截的な物言いは攻撃的にも感じられて痛快なのですが、一方で兄を守ろうとする姿は実にけなげ。そして、彼女を待ち受ける悲劇の予感に心がふさがります。
ルペは読心術者だったけれど、だれも彼女の心を分かろうとしなかった。

そして、旅の途中で出会ったミリアムとドロシーの母娘。フアン・ディエゴの世話を献身的に行う2人の正体が気になって気になって仕方ありません。突然現れ、突然消えてしまうという謎の行動はいったい…
 
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007 スペクター



「ゴールドフィンガー」以来、久しぶりに007を見ました。英国諜報部員というより、元ソ連のKGB工作員といった雰囲気のボンドがクールで良かった。やたらマッチョな姿をマスコミに公開するロシアのあのお方に姿がダブりました(ボンド役をオファーしたら引き受けるのでは?)。

007シリーズの宣伝効果は絶大なようでして、「007 スペクター」にも世界中のブランドが登場します。最近読んだ新聞記事によれば、衣装はスーツ、ジャケット、シャツがトム・フォード(アイボリーのタキシードジャケットは既製品でも5200ドル)。
腕時計はオメガで、本作で身につけた「アクアテラ」限定モデルは6150ドル、「シーマスター300」スペクター限定モデルは6350ドル。
アルプス山中で着用するボンバージャケットは2236ドル、ダナーのブーツは250ドル、ヴァルネの特注アビエーターサングラスは600ドルだとか。



そして、007といえばクルマです。
ボンドカーはアストンマーティン「DB10」。「ヴァンテージ」をベースにしたプロトタイプで、映画のために製造したそうです。
敵役ミスター・ヒンクスのジャガー「C-X75」は1.6リットル4気筒エンジンと電気モーターの組み合わせで最高出力は850hp。とんでもないパワーです。

スペクター一味がローマで会合するシーンは英ブレナム宮殿で撮影され、駐車場は夢のような状況。ポルシェがラリー参戦用に用意した「956」(27万5000ドル)、フルカーボンファイバー製のブガッティ(250万ドル)、ジャガーの「XJ」コンセプトカー、アストンマーティン「ラゴンダ」(30万ドル)、フェラーリ「458スペチアーレ」(30万ドル)、マクラーレン車(26万5000ドル)、メルセデスのロードスター(13万ドル以上)の姿があったそうです。

これら、合計4800万ドル相当のクルマをスクラップにしたのだとか。他にもヘリコプターや飛行機も遠慮無しに墜落させていましたねえ。

CGなしのアクションシーンの連続、なんともゴージャスな映画でした。
 
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