舟を編む
この小説はコメディですよね? いやあ、馬締君の真面目ぶりが世間の感覚とずれているため、彼の思考の一つひとつがおかしくておかしくて。夜中に吹き出しては大笑いすることしきりでして、近所に迷惑かけちゃいました。下手な落語よりよほどおもしろい。
辞書は「言葉の海に漕ぎ出すための舟」だという松本先生らの情熱を引き継いだ馬締君。彼の真摯な(常軌を逸した)仕事ぶりは、真っ暗な海で方向を失っていた西岡君や岸辺さんの目には灯台のように映ったことでしょう。ぶれることのない馬締君は元より、彼が放つ明かりに導かれて力強く歩き始めた2人にも「よかったね」と言ってあげたいです。
発刊が押し迫った時期に発覚した校正ミス。50人ものアルバイトが合宿状態で出版社に泊まり込み、1カ月以上にわたって数千ページのゲラを再チェックするわけですが、いやはや、想像するだに恐ろしい。
そして、そのアルバイト代って合計いくらになるんだろう? 収支が合うのか気になって気になって仕方ないのでした。
もっとも、辞書編纂のアルバイトに応じるような学生はあまり時給にこだわらないような気もします。私だって機会に恵まれたら「食事+酒」だけで手伝うだろうな(あ、昔の「本の雑誌」がまさにそうだった)。
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