Helmut by June
ファッション写真で一世を風靡したヘルムート・ニュートンの撮影現場を奧さんのジュンさんがビデオに収めた映像集です。プロの現場を見るって、それだけでも楽しいし、いろいろ参考になります。このビデオは家族ならではの視線が温かくて、恐そうだと(勝手に)思っていたニュートンの印象がずいぶん変わりました。
直前に濱谷浩の作品群を見ていたので、ついつい撮影に対する両者のアプローチを比較してしまうことになりました。写真に対する考え方がまるで違うところがとてもおもしろかった。
「写真は記録だ」と言った濱谷に対してニュートンは「写真はカメラで撮るものではない、自分の頭で撮るものだ」と言います。
シャッターを切る際モデルに事細かな要求を突きつけるのは、彼の頭の中に既に明確なイメージがあるから。記録とは正反対の創作行為です。画家が絵筆を持ってキャンバスに向かうように、ニュートンはカメラを持ってモデルに向かい、創作するのです。
モデルたちのさばさばした、それ故にプロフェッショナルな仕事ぶりも興味深いですね。そして、プラシド・ドミンゴの撮影場面には笑ってしまった。途中でドミンゴにカメラを奪われ、逆にあれこれポーズを取らされる始末。でも楽しそうで、全く嫌な顔をしないんですよ。ニュートンの人柄が表れているように思います。
ジュンさん、最後のサービスカットは要らなかったかなあ。あれはご自身のために取っておいた方が良かったと思うのですが。はい、余計なお世話でしたね。
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