ダンス・ウィズ・ウルブズ
1991年のアカデミー賞ーでいくつものオスカーを獲得した、言わずとしれた名作。評判通り素晴らしかった。
北米最後のフロンティアが持つ自然の美しさと厳しさ、異文化の遭遇がもたらす緊張と融和、抑圧者の暴力にさらされた非抑圧者の抵抗とあきらめ。いやあ、噂に違わぬ見事な映像作品でした。
特筆すべきは、白人=正義、先住民族=悪、という、それまでステレオタイプに描かれていた両者の構図を逆転させたことだと思います。レーガン大統領が軍事費の拡大を続け、ソ連を「悪の帝国」と呼んでいた時代にこの映画が企画されたことを考えると、よく完成にこぎ着けたなと感心してしまいます。
アメリカという国は(他の国々同様)いつも深刻な問題を抱え、泥沼に足を取られて右往左往しているように見えます。
しかし、時にその内部で自浄作用が働き、例えばこのような映画が制作され、しかも興行的に成功してしまう。そんな様子を見ていると、国民は信頼に足りる人たちなのだと安心できる気持ちになります。
本音は本音として持ちながら、しかし、掲げた建前はあくまで貫き通すかの国の健全さがこの映画を成功させたのだろうと感じたのでした。
ところで、バッファロー狩のシーンですが、CGのない時代にあの壮大な映像は見事ですね。
失われた先住民族の文化を再現、保存したことも偉いなあ。
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