Un gato lo vio −猫は見た

映画やらスポーツやら小説やら、あれやこれや。
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ネマニャ・ラドゥロヴィチ in りゅーとぴあ



ちりちりの長髪、中国の長袍のような黒服に黒タイツ、おまけに膝に届きそうなブーツ。
そのやんちゃな外見からパワフルな音を予想したのですが、前半はとても抑制が効いた演奏でした(むしろピアノのスーザン・マノフの方がダイナミック)。でも、パワーを秘めているのは確実。大排気量の自動車が適度な速度でクルージングしているようで、ゆとりが感じられます。

休憩後からはかなり乗ってきたようで、いよいよ本領発揮。音量が上がり、滑らかさも増したような気がします。まるでアンプが入ったみたい。フランクのソナタではあまりの熱演振りに第2楽章の終わりで拍手が出るほどでした。
そして、木管楽器のような低音から口笛のような高音まで自在に操るテクニックに呆然。あんな音は初めて。しかもピアニシモで奏でるなんて(プロなら普通にできるのかな?)。

アンコールには3回も応じ、しかも最後は3曲ほどのメドレーという大サービス。
終始笑顔で演奏し、時におどけてみせる様はやんちゃぼうずのようで、耳だけではなく目も楽しませてくれました。客席も盛り上がり、手拍子まで出ましたからね。

すっかりのぼせたご婦人方も多かったようで、本人がサインしてくれるというCD販売会は女性客が行列。あっという間に売り切れでした。

個人的にはピアノとの掛け合いが絶妙なモーツァルトが楽しかった。マノフと視線を合わせてタイミングをとる様子はダンスを踊っているようでした。アンコールのチャルダッシュではこちらが踊りたくなっちゃいました。
2000円という破格の料金もナイスです(東京は7000円だとか)。
 
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しあわせの雨傘



雨傘会社を経営する夫に「飾り壺」と言われる妻スザンヌ。家事と詩作だけの退屈な毎日を過ごしていたある日、夫が病に倒れ社長代行を務めることに。業績不振の会社を見事立ち直らせたものの、家族や友人に裏切られ、再び主婦業に逆戻り。
しかし、自分の才能を見つけてしまったスザンヌはもうじっとしてなんかいられないのです。

ディズニー映画のようなオープニングとあまりに変わり果てた(失礼!)ジャージ姿のドヌーヴを眼にして感じる一抹の不安…
でもやっぱり大丈夫。明るく楽しく、しかも肯定的なメッセージを嫌みにならないように伝える洒落た映画に仕上がっていました。

登場人物が歌をうたうわけではないけれど、ミュージカルのような印象が残りました。「シェルブールの雨傘」へのオマージュを捧げるように、最後はドヌーヴが歌ってくれたしね。
社長室の前に立てられた傘の並べ方はシェルブール傘店と同じで思わずにやりとさせられるし、眼に鮮やかな色彩は「ロシュフォールの恋人たち」を思い出しました。

なんと国会議員に当選した直後の挨拶が良かった。「大きな傘を広げて、その下でみんなを抱きしめたいのです。だって私はみんなのママだから」
現実の政治家の皆さんにも、ぜひこういう思いで議員活動に臨んで欲しいものです。

そしてだいぶおばあちゃんになって太ってしまったけど、ドヌーヴはやっぱりチャーミングな俳優でした。今回もいろんな色の衣装を着たけど、やっぱりブルーがいちばん。
そうそう、若いときは結構浮気しまくっていたという設定がおかしかった。
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San Miguel -T.C.ボイル



舞台はカリフォルニア沖に浮かぶサンミゲル島。時代は1880年代と1930年代。それぞれの時代に新しい生活と夢を追い求めた家族が、羊の他に誰もいない無人島へ渡ります。
しかし、彼らを待ち受けていたのは暗鬱な天候と厳しい試練。木の一本すら生えない不毛の島サンミゲルでは、ようやく芽生えたほのかな希望が大きく育つことはなかった……

これまでに読んだボイルの文章はどれもこれも皮肉がたっぷりと効いていて、「鬼才」という言葉が似合うと思っていました。
ですから、2つの家族の物語を時系列に淡々と書き綴った小説にびっくり。伝統的な小説を書くなんて、どんな心境の変化なのだろう?

それはさておき、世間から隔絶された場所で孤独に暮らすなんて私には絶対無理だと思いましたね。無人島といえばどこかロマンチックな響きがあるけれど、当然のことながら病院もなければ居酒屋もないわけでして。
本はどこで手に入れればいいのだ? たまには寄席や野球場にも行きたいぞ。

実際、自ら交通手段を持たない物語の登場人物達も強がってはみせるものの、病気、出産、怪我では大わらわ。洒落になりません。一方、不意の訪問客は大歓迎。だって、人恋しくて仕方ないのです。
人はコミュニティの外では生きていけないのだ、と再認識させられました、はい。
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フライトプラン、シェフ、他2編

スカパーが1カ月好きなチャンネルを見ていいよ、と言ってくれたので、いつものシネフィルに加えてスターチャンネルを選択。
というわけで、今月は個人的ハリウッド映画月間でした。

「フライトプラン」
事故死した夫を故国に埋葬するため、娘を連れてベルリンから帰国するカイル。
離陸後に眠り込んでしまい、ふと目をさますと娘の姿が見あたらない。機内中を探し回るも目撃者はなし。いったい娘はどこに消えたのか。

見る者の気を惹く見事な設定でしたが、一方で「そりゃないだろう」という突っ込みどころも(特に後半は)てんこ盛り。楽しければそれで良し、という割り切りは、さすがハリウッド。
でも大丈夫。ジョディ・フォスターが娘を捜して気も狂わんばかりの迫真の演技を見せてくれますから。「ひえー」と引き込まれるうちに、あっという間にラストシーンです、はい。



「フレンチコネクション」
フランスから持ち込まれる麻薬取引の現場を押さえようとする2人組刑事の活躍やいかに。

後半はアクションシーンの連続ですが、「どうだ、すごいだろう」という押しつけがなく、なんだかドキュメンタリー映像を見ている気分。このクールさがなかなか格好いい。
そして、刑事たちの苦労が報われないという、現実にありそうな結末も意表を突いています。



ボディ・スナッチャー」
朝目覚めると、夫が、妻が、知人が見知らぬ人間に変わっていた。外見は同じなのに明らかに別人物。
やがて街の人々は次々と入れ替わり、最後に残された医師マシューと元恋人のエリザベスは救いを求めて逃亡するも……

恐怖が迫っているのに誰にも信じてもらえない、という状況には遭遇したくありません。



「シェフ! 〜三ツ星レストランの舞台裏へようこそ〜」
無名料理人が有名シェフに認められ、3つ星レストランを任せられるというシンデレラストーリー。
ジャン・レノとミカエル・ユーンの掛け合いが楽しいコメディでした。

私には縁のない世界ですが、一流レストランの雰囲気だけごちそうになりました。




 
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