Un gato lo vio −猫は見た

映画やらスポーツやら小説やら、あれやこれや。
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太陽が知っている



落語には嫉妬ねたが結構ありまして、「焼きもちはほどほどに焼くのがよろしいかと」という枕も定番であります。

そう、きつすぎる悋気は身を滅ぼすのです。しかし、それをやってしまったのがこの映画に登場する3人の男女。
文学に挫折した優男ジャン=ポール君と彼に付き添うため仕事を辞めたマリアンヌ。2人は豪勢な友人宅で休暇中。そこへ18歳の娘を連れて乱入してきたのが、2人の昔なじみのハリーです。

ハリーは以前マリアンヌと付き合っていたようでして、ジャン=ポールと仲むつまじい彼女の姿に少々複雑な心境。一方、久々の再会に喜ぶハリーとマリアンヌの様子を見たジャン=ポールの心にも炎がめらっ。腹いせにジャン=ポールはハリーの娘にちょっかいを出し、今度はマリアンヌの心に嫉妬の炎。ジャン=ポールの心を引き戻そうと、あえてハリーと仲良くしちゃうのです。

なにやってんだか、ねえ。
しかも、本人達が予想もしなかった事態が発生してしまい、別れることに決めたはずのジャン=ポールとマリアンヌは一生別れられないことに。哀れなことこのうえなし。

やはり、焼きもちはほどほどに焼くのがよろしいようで。

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梅雨の晴れ間の佐潟はトンボまつり



自転車が気持ちよい季節になってきたところで、今年も暇を見つけて近所の佐潟まで走っています。

先日は数十年ぶりにギンヤンマの姿を見つけて一気にテンションが上がってしまった。素早い加速でひゅんひゅん飛び回る姿は他のトンボとは一線を画します。格好ええー。
なんとかあの姿を写真に収めたいのだけれど、あんまり速すぎて至難の業。コンパクトカメラの手持ちじゃ無理だなあ。

すっかり昆虫が大好きだった少年時代に戻った気分で、辺りを見回してみると他にもこんなトンボが飛び回っていました。




イトトンボの仲間は低空を移動するので、幼い子どもでも比較的簡単に捕まえることができました。草の葉に止まっているところへ息を凝らして近づき、真上から帽子を落とすと数回に1回くらいはうまくいって、手の中の収まった彼らの鮮やかな色にほれぼれとしたものです。



しかし、しかし、この歳になってみると、何度トライしても捕まえることはできないのでした。
うーん、残念。
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写字室の旅   ポール・オースター



独房とおぼしき部屋で、自分が何者なのか、なぜここにいるのか、薄れゆく記憶に抵抗しながら懊悩する老人、ミスター・ブランク。
彼はどうやら作家のようで、「処置」の一環として机に積み上げられた報告書を読むことが当面の仕事。しかし、自らが作品中に描いた登場人部が次々と部屋を訪れるため、その作業はしばしば中断。

うーん、これはいったい何なんだろう。
どこかに初期のニューヨーク3部作を思い出させるものがあり、オースターが伝えたいことが理解できないもどかしさを覚えつつ、でもそのクールな雰囲気には惹かれてしまいます。
ブランクの読む報告書は、どうらや「Man in the Dark」で展開する夢の話とリンクしているようで、改めて翻訳「闇の男」を読もうかどうしようか、これも悩ましいところです。

老人を訪ねる登場人物たちのことは、きれいさっぱり忘れていました。最初のうちは誰がどの作品に登場したのか気になって本棚をがさごそ探していましたが、そのうち、2、3の作品を除いてストーリーそのものもほとんど覚えていないという事実に愕然。もういちど読み返そうかと思ったところで、分かりました。

はい、これはオースターの「販促用小説」というのが、私の結論です。「写字室」に登場する人物が気になる人はぜひ、該当作品を書店で手にとってくださいね、忘れた人はもう一度ページをめくってくださいね。

まあ、そんなことはないだろうけれど、いくつかの作品を読み返したくなったのは事実。
うまいことやられてしまいました。
 

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蜜蜂



トルコの山中で暮らす家族の絆を描いた美しい映画でした。
瑞々しい画面は非常に絵画的。まさに「motion pictures」です。
BGMを一切使用しないこともあって、あらゆる音に神経が研ぎ澄まされました。特に森のささやきが印象的でした。

そして、吃音でうまく喋ることができないユスフ君を見ているうち、子どもの頃の頼りなさが呼び起こされてしまい、なんだか自分自身を見ているような気分になってしまった……

うまく本を読めなかったり、友達の輪に入っていけないもどかしさ。そして、蜂蜜採りを生業とする大好きな父親が出かけたきり戻ってこない不安。同じ体験をしたわけではないけれど、彼が感じているであろう切なさがリアルに伝わりすぎて、途中、何度席を立とうと思ったか……

大好きだった父親の消息を知っても涙を流さず、仕事場だった森で夜の音に耳を澄ます姿がけなげでした。

それにしてもこの親子は母親も含めて言葉が多くありません。言葉にしなければ思いは伝わらない、ということも事実だけれど、語らずとも伝わるものがあるというのもまた事実。親子の愛情はそうしたものの最たるものだろうと感じたのでした。

(身も蓋もない)教訓。危険な仕事に一人で行ってはいけません。

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