Un gato lo vio −猫は見た

映画やらスポーツやら小説やら、あれやこれや。
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梅佳代展



会場に足を踏み入れた瞬間に吹き出してしまった!
白目をむいた巨大な小学生男子のお出迎えです。変な顔で変なポーズを決めまくるがきんちょのコーナーを腹を抱えながら通り抜けると、次に待っていたのは無防備すぎる中学生女子たち。スカートをめくってみたり、足の間に大根をはさんだりと無邪気なことこのうえなしです。

有名になったじいちゃんの写真も楽しいものでした。16年間にわたって実家の家族を撮りまくったもので、これだけで数百枚。全判からL版くらいの小さいものまで、壁面の上から下までびっしり。
何をされようがにこにこと達観した境地のじいちゃん、いつまでもカメラを向けられることに慣れないばあちゃん、屈託のない笑顔の妹(?)たちの膨大な写真を見ていると、全く面識のないよその家族なのに、なんだか他人のような気がしなくなります。

すっかり楽しい気分になったのは私だけではなく、会場のあちらこちらから笑い声が響いていました。中でも、じいちゃんの写真を1枚ずつ丹念に眺めながらあれこれ感想を述べ合う中学生女子2人組みの姿が印象的だったなあ(いったい何時間見ているんだ?)。

実家の家族はもちろん身内だけれど、他の写真も身内意識、仲間意識がなければ撮らせてもらえないものばかり。梅佳代の写真の極意はそこにつきますね。
いつもカメラを携えていて、面白いと思ったらさっと撮っちゃうんだろうな。
すばらしいオリジナリティだ。彼女の写真がこの先もこの勢いで突っ走るのか、それとも変化を見せるのか、どちらにしろ、とても楽しみです。

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サインは妄想タイムマシンだった



ドイツ在住の知人からジョン・アーヴィングやコラム・マッキャン、ドナ・タートなどのサイン入り本を立て続けにプレゼントしてもらいました。
彼の地では作家本人によるリーディングが頻繁に行われるそうですが、アーヴィングのサイン本は結構入手困難とのこと。また、親日家だというマッキャンやタートは私の名前まで添えてもらいました。これは素直に嬉しい。





サインといえば、子どもの頃は有名人という理由だけで、本人の姿を見ると反射的にねだったものです。どこかにあったよなと探してみると、出てきた出てきた。三善英史、清水由貴子、荒井由実、ハイファイセット、三沢あけみ、庄司薫、木村晋介……(懐かしい人たちばかりだ)。でも最近はそもそもそんな機会がないし、ごく稀に遭遇しても「迷惑だよな」と思ってその姿をそっと覗うだけの分別がついてしまった。

自分がもらった過去のサインを引っ張り出して、なぜあんなに欲しがったのかな、なんて首を傾げながらも、直接もらったそれらを改めて見てみると、そのときの様子がありありと蘇ってきます。
ユーミンと庄司薫を目の前にした中学生の私はものすごく、ものすごく、ものすごく緊張し、心臓はバクバク。なんとか言葉を交わしたいと思っても「頑張ってください」くらいのことしか言えなかったなあ。

今はもうあんなに心がときめくこともないけれど、直接もらったサインはほんの一時、あの頃の胸の高鳴りを思い出させてくれるタイムマシンみたいで、やはり大切に取っておこうと思うのでした。

ということで、冒頭のアーヴィング。こちらは未来への妄想タイムマシンとなっています。いつかご本人に話しかける機会があって、握手でもしてもらえたら心臓が止まるかも、なんてね。
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黄色い星の子供たち


ナチスドイツ占領下のパリ。警察当局に対してユダヤ人2万人以上を検挙、収容所へ送れという命令が下ると、憤慨した市民は1万人以上を匿います。それでもそれ以上の人々がポーランドへ送られてしまうことになり、そして、その中には大勢の子どもたちも……

第二次世界大戦下、ナチスが占領地のユダヤ人に六芒星のマークを付けさせていたとどこかで読んだ記憶がありましたが、それを実際に映像として見せられることは衝撃でした。
また、占領下のフランス国内ではドイツ軍に対するレジスタンス運動が盛んだったはずなのに、警察当局がナチスに迎合する形で大勢のユダヤ人を検挙したという事実に驚いてしまいました。集められた1万数千人が屋内の自転車競技場に収容されたシーンは悪寒が走ります。



この事件に限らず、隠されたまま、あるいは忘れ去られたまま風化させてはならない事実は数多くあるはずです。だからといって、個人として何ができると問うてみても、自ずと限界は明白。己の無力さを実感するだけですが、でも、例えばこの映画を観て心打たれ、その衝撃を誰かに伝えることくらいなら私にもできる。
いや、それくらいのことしかできないけれど、でも続けていこうと改めて思うのでした。誰もがその労を放棄しては、いつか本当に人は自滅してしまうことになるだろうから。

この映画は2010年の制作。終戦後60年以上という長い年月を経た後にこの事件を世に問うた制作者の気概に拍手。

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蕎麦屋の幸せ 番外2



楽しみにしていた高橋名人の蕎麦。
用意する500食に対して、野のやのご主人は「そんなに人が集まるかな……」と心配顔だったもので、こちらも油断してしまった。
それでも10時の販売開始に対して11時前には到着したのですが、すでにこの状態で完売。泣く泣く会場を後にしたのでした。無念……



間近で見る名人の技は想像以上に見事でした。動きに無駄がなく、手品でも見せられているみたいに生地がするすると形を変えていきます。
そんな様子を最前列で食い入るように見つめているお父さん、見たことあるなと思ったら野のやさんの常連客。
「おれたちには野のやのそばがあるもんな」と慰め合う昼時でした。

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