オックスフォード大学史学部、時間旅行シリーズがついに終わった…
今回「ブラック・アウト」と「オール・クリア」でダンワージー先生の教え子たちが調査に赴いたのは第2次世界大戦下の英国。原因不明のトラブルで現代に戻ることができなくなり、空襲が続くロンドンに閉じ込められてしまいます。帰ることができないメンバーには文字通りのデッドラインが迫り来る。果たして彼らの帰還はかなうのか。
あまりの分厚さに「ちょっと水増しし過ぎじゃないの?」と疑問をはさんだ私がばかでした。
読み終えてみれば、無駄だと思ったシーンにも全て意味があった。
ラスト300ページは怒濤の展開であれよあれよという間に読み終えてしまい、「えーっ、もう終わりなの? もっと続きを!」と叫んでいる始末。
至福のひとときとは、これを言うんだなあ。
ページをめくる手が止まらないストーリーテリングと強烈なキャラクター(悪ガキ、ホドビン姉弟は強烈。英国最終兵器の彼らはこの物語のMVP)も楽しかったし、戦時下のロンドン市民がどのように戦争に抗っていたかうかがい知ることができたのも収穫でした。
なにしろ、かの人たちは精神的にタフです。空襲警報が鳴っても日常生活が最優先とばかりに平気で買い物を続けるし、爆発音が響く中でも演劇を中止しない。ダンスパーティーには兵士も女の子も意地になって駆けつけるんですよ。
臆病風に吹かれて引っ込んでいたら、ヒトラーに負けたことになるから、なんて、まるで江戸っ子気質じゃありませんか。
もちろんフィクションですけれど、きっと英国人は本質的にそういった気風を持っているんでしょうね。
ともあれ、もはやコニー・ウィルスの次作が待ち遠しい。
早く書いてくださいね。大森さんも素早い翻訳お願いします。