Un gato lo vio −猫は見た

映画やらスポーツやら小説やら、あれやこれや。
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永遠のゼロ



吉村貫一郎はきっといつの世にも存在するのですね。
浅田次郎が生み出した新選組隊士の真摯に生き抜く姿は今も記憶に鮮やかですが、百田尚樹の描いた零戦搭乗員もその信念を貫く姿が読者の胸に強烈に刻み込まれることになりました。

「たとえ手足がなくなろうと必ず帰ってくる、死んでも生まれ変わって帰ってくる」と妻に誓った宮部久蔵。帰還するチャンスがあったにもかかわらず、なぜ特攻機に乗り込んで自ら命を絶ったのか。

戦争を生き残った人々が宮部の孫に語る姿は、一方で臆病者、一方で優秀な操縦士。いったいどちらが真実なのか。
やがて明らかにされる予想外の真実にはすっかり打ちのめされてしまいました。宮部に生かされた人々の後日譚も胸を熱くします。

そして一人の人間の生き方という普遍性を持ったテーマに心を動かされながら、もうひとつ、私たちは特定の出来事に対して知るべき義務と忘れてはならない責任があるということを改めて感じるのでした。
人は愚かな過去から学べるものであってほしい。

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少年時代へタイムスリップした夏の佐潟



引き続き、近所の話題。
灯台もと暗し、とはまさにこのことだった。

先日、よく通りかかる佐潟で蓮の花が咲き始めていたので、眼の保養がてらしばし休憩。
ついでに潟を一周する遊歩道を歩いてみることにしたら、これがあたりだった。
特別周囲に眼を凝らすことなく歩いたにもかかわらず、たくさんの生き物をみかけたのです。
子どもの頃のわくわく感が蘇ってしまった。


歩き始めてすぐにさまざまなトンボが道先案内するように飛び交い、ふと視線を向けた足元ではジバチがクモを巣穴に引きずり込もうと攻撃中。そのすぐ先ではハナムグリのつがいが事に及んでいて、あっちいけと追い払われます。


ヨシキリとウシガエルがやかましいほど鳴き続け、視界をかすめる影を追ってみればアジサシが魚を狙ってダイビング(海鳥じゃないの?)。
日の当たる浅瀬ではイシガメのカップルが仲良く甲羅干しで気持ちよさそうです。

周囲にはいろんな畑が並んでいて、今を盛りのスイカやら、カボチャやら、タバコやらいろいろ。ユリ畑からは実に甘い香りが漂ってきます。
鬱蒼とした木立の中に小さく群れていたホタルブクロの仄かな白さも印象的でした。


潟を見晴らす高台には素朴なカフェテラスもあり(車ではアクセスできない)、休憩には最高です。
うーん、今まで知らずにいて悔しい。
近所だからとあなどってはいけない、と思い知らされた夏の午後でした。

追記
遊歩道(5.5キロ)は結構ワイルドです。整備されていて水面が見えるのは全体の1/10ほど。
あとは鬱蒼とした木立とぬかるんだ農道。アブやヤブカやハエもうようよいるので、一周するには季節を選ぶか、それなりの覚悟を。

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近所の不思議なもの



気持ちよく自転車に乗れる季節になって数ヶ月。
近所を走っていてみつけた不思議なものを紹介します。

自宅近くの公園にある20メートルほどの木の枝の先に丸いものが。ひもで結びつけられているようでなんだか不思議。なんだろう、これ。


これはソメイヨシノのさくらんぼ。うまそうだったので口に入れたら……
ぺっ、ぺっ、ぺっ! この苦みは半端じゃない!
はき出したら血のように赤い果汁でした。


弥彦神社の外れに行列ができていたのでのぞいてみると…
みなさん、2つの丸い石を持ち上げて首を傾げているのでした。
何してるんだろうとこちらの首も傾いた。


最初の写真と同じ公園の入り口。
葉なのだろうか実なのだろうか、謎。

もう少し植物に詳しくなりたいと思うのでありました。


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特別な一日



誰にも特別な一日があり、誰もが心にささやかな秘密を抱えている。
そうなんだよね。
ジュンパ・ラヒリ「停電の夜に」やアリステア・マクラウド「灰色の輝ける贈り物」「冬の犬」のように、はかなく、そしてそれ故いっそう慈しみたくなるような心の震えが見る者にも伝わる佳作です。

ヒトラーの訪問記念式典が行われる第二次世界大戦前夜のローマ。
6人の子どもと夫の世話に疲れたアントニエッタは逃げ出した九官鳥を捕まえるため、向かいのアパートの一室を訪れます。
部屋にいたのは、とある事情で兵役にも仕事にも就いていないガブリエーレ。

慰めを必要としていた二人は互いにそれを察知します。
でも、打ち解けそうで打ち解けられないのは、ガブリエーレの事情と教養の無さを恥じるアントニエッタのコンプレックス。

それでも慰めを必要としていた二人は、ようやく互いの胸の内を打ち明けることになります。
でも、だからといって何が生まれるわけでもない。自分がまだ男であり、女であることを確認しただけで、明日からはこれまでと同じ生活が待っているのです。

気が強そうでありながらもろさを抱えるソフィア・ローレンと軟弱そうでも最後の一線は守り抜くマストロヤンニ。
実際のところは分からないけれど、こういった役柄を演じる二人のコンビは絶妙ですね。
映画っていいなあ、としみじみと感じさせてくれます。

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