Un gato lo vio −猫は見た

映画やらスポーツやら小説やら、あれやこれや。
<< April 2013 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>

新・御宿かわせみ



いやあ、嬉しい。
「新・御宿かわせみ」のドラマ版がスタートするとは聞いていたのですが、主要登場人物がなんとオリジナルキャストで再登場! また、あの面々に会えるとは。
みなさん元気で良かった。

「御宿かわせみ」は何度もドラマ化され、その度ごとに俳優陣がそれぞれの平岩ワールドを展開してくれました。
でもねえ、やっぱり東吾は小野寺昭、るいは真野響子なのですよ。
特に、芯は強いけれど惚れた東吾には頼り切ってしまうるいのキャラクターは真野さんがぴったり。
原作を読んでも真野さんの顔が浮かんできますからね。

新シリーズがどれくらいのペースで進んでいくのか気になるところです。
原作は今のところ4冊出版されていますが、私が読んでいる文庫版は3冊目まで。この段階ではまだ行方不明の東吾は登場していません。
ドラマの進行が早すぎて文庫に収められたストーリーを追い越してしまったら困るなあ。

放送予定は今のところBSスカパーしか発表されていないのがじれったい。
早くスカパーHDでも楽しめるようにして下さい。
お願いしますよ、スカパーさん!

テレビドラマ | permalink | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |

ゲンズブールと女たち



長屋のもてない八つぁん、近所のご隠居を訪ねて「あたしは一度も女の人とつきあったことがないんですよ。どうしたら惚れてもらえますかね」と質問する落語の「色事根問」。
ご隠居は10項目を挙げて、「そのうち1つでも当てはまればなんとかなる」と教えるのですが、残念ながら全滅。
まずは良いお手本を参考にするべきかなあ。

ということで、もてまくったセルジュ・ゲンズブールの女性遍歴を眺めてみましょう。
子ども時代の冒頭シーンでいきなり「醜い子は嫌い」と振られるのですが、そんなことでめげたりしない。美術学校に通う小学生にして、既にモデルを口説き落とし、その後はあたるを幸い片っ端から女性をものにするんです。

映画に登場するだけでもダリの愛人、ジュリエット・グレコ、ブリジット・バルドー、ジェーン・パーキンと、目眩がしそうな名前ばかり。
「醜い」と言われた容姿とユダヤ人だというコンプレックスが、絵画、音楽、俳優の才能を開花させ、一躍時代の寵児に登りつめたゲンズブール。そのカリスマ的なパワーと自堕落な生活振りが女性たちを惹きつけるようなのです。甘え方も見事だし。

でも、まあ、女性を次から次へと取り替える生活は見ているだけでも大変そう。
亡くなるまで止まなかった女性遍歴は、世間を騒がせ続けるパワーがあったからこそなのでしょう。
どうも、八つぁんのお手本にはならないなあ。

個人的にいちばんおかしかったのは、セルジュの父親。
ブリジット・バルドーとつきあっていることを知ると「うちへ連れてこい、紹介しろ」と迫り、ブリジット・バルドーの名前を連呼しながら小躍りしちゃうのです。
親もたいした人だった。
映画 | permalink | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |

水のかたち



出勤前はNHKの「0655」という番組を見ていまして、ここに時々登場する「toi! toi! toi!」という歌がお気に入り(歌はデーモン木暮閣下)。
今日一日、なにか少しでもいいことがありますように、と願うおまじない的お守り的ソングなのであります。

宮本輝最新刊「水のかたち」もそんなお守りのような物語です。
なにしろ悪人が登場せず(性格の悪い美女が1人いるけれど)、悪意も存在しない。

「自然に素直で、自然に謙虚で、自然に礼儀正しい」主人公の主婦、志乃子さん。
店じまいをする骨董店からただでもらった茶碗が3000万円で売れるという幸運に恵まれるのですが、「自分を自分以上でも、自分以下のものにも見せようとしない」人柄が善意の人々を次々と惹きつけ、最後は想像すらしたことのない道を歩み始めることになるのです。

正直者が馬鹿を見ない類い希なる小説です。
こんなことあり得ないよ、といって投げ出してはいけない。
確かに良いことばかりが続くわけもありませんが、志乃子さんのように自然体で、正直であり続ければ正の連鎖が始まることだってあるかもしれない。
そう思って、お守り替わりにこの物語を心の隅にしまっておこうと思うのです。

この物語の中には、戦後、北朝鮮から命がけの脱出を果たした人たちの実話が挿入されています。
脱出を率いた名も無き人物もまた、他人のことを気にかけることができる善き人でした。
これが無理なく小説に溶け込んでいるため、物語に厚みが増しています。

JUGEMテーマ:読書
小説(あるいは読書) | permalink | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |

必殺仕置人


たまたま見てしまった「必殺仕置人」。
必殺シリーズの第2弾にして、藤田まことの中村主水初登場。あまりの面白さに今さらながら夢中なのです。
シリーズ全体としての楽しさもさることながら、第1話の出来は他と一線を画す衝撃的な作品に仕上がっていました。
テレビドラマとして語られるだけではもったいない!
独立した短編映画としての完成度を備えていて、ほんの少し手を入れてしまえば世界的な映画祭で賞を獲得するのではないかと思わせます(そもそもフィルム撮影のような気がする)。

まず、細部にこだわったセットと意表を突くカメラワークの組み合わせが異様なリアル感を生みだし、画面のこちら側に厠、土くれ、血糊の臭いまで伝わりそうです。
そして、臭いと言えば藤田まこと、山崎努、沖雅也、野川由美子、秋野太作の胡散臭いこと!
見ない振りで蓋をしたくなるような人間の嫌らしさを「ほら、どうだ」とばかりに突きつけるのです。
この主役たちを含めた全登場人物が肩に背負った人生を感じさせる好演で、さらにセット、撮影、音楽、エンドロールなど、制作に関わった全スタッフの熱気が火傷しそうなほど熱く熱く伝わってくるんだなあ。

そして、仕置きする側とされる側は同じ種類の悪人なんだという主水の認識。
悪い奴らを始末するにはその上を行く悪人にならなければならないとする覚悟が見事です。
これは見なくちゃ損ですよ。

忘れちゃいけない、菅井きんと白木万里。
婿殿への当てつけ演技は第1話にして熟練の域に達していました!

JUGEMテーマ:映画
テレビドラマ | permalink | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |