Un gato lo vio −猫は見た

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砂と霧の家



あのとき、右の道を選んでいたら。
家を出る時間が2分早かったら。
それとも雨が降っていなかったら、こんなことにはならなかったはずなのに……
誰にもそんな出来事があるはずです。

この物語では、キャシーが役所から届いた封書を開いていたら悲劇は起きなかったし、ベラーニが亡命先のアメリカで分相応の暮らしに満足していれば、あるいは差し押さえの現場に向かったのがレスターでなければ違った結果に終わったはずなのです。

誰も悪くはありません。
夫に去られてしまったキャシーが自暴自棄な生活を続ける気持ちはよく分かるし、故国で要職にあったベラーニが矜持を捨てられないのも無理はありません。妻に対する気持ちが冷えてしまったレスターがキャシーに惹かれてしまってもそれは仕方のないことです。

それが交わってしまうことは誰にも止められないし、残念ながら一度回り始めた負の歯車は行き着くところまで行かないと止まらないようです。

これが自分の物語でもあり得るという可能性が、見る者の心に不安の波紋を広げます。
世界は喜びにも満ちているし、哀しみにも満ちています。
その事実をただ静かに受け止める午後でありました。
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ねこ 岩合光昭写真展


少し前のことですが、岩合さんの写真展「ねこ」に出かけてきました。
予想通りの盛況で、カップルと親子連れの姿が目だちます。

老いも若きも写真を目にするとみんな笑顔なのであります。
ねこたちと岩合さんの力、おそるべしです。

ほとんどが屋外の写真です。
飼い猫以外は初対面のはずなのに、あれほど近寄ってどうしてねこたちはじっとしているのだろう?

うちのねこたちなんて、たまに外で見かけてカメラを構えると、あっっというまにすりよってくるか、逃げていくか。
その場でポーズを決めてくれることなんてありません。

ねこたちをおとなしくさせる岩合さんの秘密を知りたい、と切に願った展覧会でした。



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