Un gato lo vio −猫は見た

映画やらスポーツやら小説やら、あれやこれや。
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ぼくのエリ

 

いじめられっこのオスカー君の家の隣に不思議な少女が引っ越してきます。
真冬なのに半袖姿。彼女の名はエリ。
共に暮らすホーカンは保護者のようでありながら、なぜかエリの顔色をうかがいます。
やがてオスカー君はエリに恋をするのですが、彼女はなにも食べたがりません。
実は彼女は……

映画の終盤まで私はこの映画を少年の初恋物語として受け止めようとしていました。
確かに状況は異常ですが、いじめられっ子が女の子の励ましで成長していく。
そして切ないエピソードとともに終わるのだろうと思っていました。

ところが、ところが。
ラストシーンで私は頭から冷水を浴びせられることになりました。
楽しそうな表情のオスカー君。
カメラが引いた瞬間、全てが分かってしまうのです。
物語の中で腑に落ちなかった発言が恐ろしい意味を隠していたとは……

エリとホーカンの関係が今ひとつ不明でした。
彼は「オスカーに会わないでほしい」とエリに懇願しますが、これが1つめ。

もう1つは、エリがオスカーに自分はバンパイアだと明かしたときの台詞。
「人を殺してでも自分が生き延びたいと思うでしょう」
いじめられっこのオスカーにはその気持ちがよく分かります。

これは初恋と成長の物語などではありません。
どんな手段を用いても生き延びようとするバンパイアのしたたかな生き様を描いた物語なのです。

ラストシーンで、不可解だったホーカンの謎が氷解し、そしてオスカー君の未来がありありと提示され、見る者はその恐ろしさに凍りつくことになるのです。
映画は暗い空から降りしきる雪の映像で始まり、同じ映像で終わります。
この映画を観た人たちが感じるであろう心象を暗示し、またエリの心象、オスカー君の未来を暗示するものでもありました。

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ドガ展




今年最後のお楽しみ「ドガ展」に出かけてきました。
開館30分前で既に100メートルほど行列ができていたため、入館と同時にまずお目当ての「エトワール」の元へ。

展示室に入った瞬間、「エトワール」は本物のスポットライトが下から照らしているかのように、あたたかな光に包まれていました。
絵の前にいたのはほんの数名。
混み合ってくるまで間近でじっくりと向き合うことができました。

印刷物やテレビで幾度となく目にしてきた作品ですが、実物はまったく違うことに驚かされます。

色彩が画集で見ていたものより淡くやさしい印象です。
すばやい筆のタッチが感じられ、パステルなのですが、とても奥行きがある立体的な印象を受けました。
今流行の3Dみたいというか。


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寄席の幸せ5


土曜日の鈴本、団体さん50人ほどとあわせて満杯でした。
演者お構いなしに喋ったりする人もいれば、最前列で眠りこける人あり、お酒片手に幸せそうな人あり(私も)と、いつもの風景。
本日も(超限定的ながら)世界は平和であります。

この日は代演で菊志んが登場。最近お気に入りなので得した気分でありました。
演目は「紙入れ」。

出入り先のおかみさんから呼び出されて間男にいった新吉。
ところが、突然旦那が帰宅。間一髪逃げ出したものの、旦那からもらった紙入れを忘れてしまい、さあどうしよう……

菊志んは、こういうあだっぽいおかみさんがうまいんだよなあ。
亭主をうまく丸め込む件は、拍手ぱちぱちで大笑いでありました。

そうそう、この日は神楽の和楽社中もいつになく受けていました。
人ごとながら嬉しくなったりして。

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