Un gato lo vio −猫は見た

映画やらスポーツやら小説やら、あれやこれや。
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私の夢 藤田嗣治



藤田嗣治の不可思議な「私の夢」。
この作品を読み解く講座があると聞き、いそいそと万代島美術館へ。

衣服を身につけた動物たちが裸の女性を取り囲む。
黒い背景と白いからだ、そして色とりどりの衣服が刻むアクセント。
分けはわかんないけれど、とてもに印象に残ります。
昨年東京都美術館で開かれた「日本の美術館名品展」でだんとつの一番人気だったというのも頷けます。

一人の作家の生涯を追い、そして一つの作品と向き合うというのは、知的好奇心を満足させてくれる楽しい時間でありました。

以下、講座の内容とは全く関係のないつぶやきです。


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想像力は世界を救うか



想像力の欠如は罪である、ということを感じさせる小説と映画を立て続けに見てしまいました。
ドン・ウインズロウの「犬の力」と韓国映画「クロッシング」です。

「犬の力」はメキシコとアメリカを中心とした麻薬戦争を、「クロッシング」は北朝鮮で生きる普通の人々の苦悩を描いています。
どちらもフィクションですが、おそらくその実態にかなりリアルに迫っていることは間違いないでしょう。

メキシコでは2006年の取り締まり強化以降、抗争による死者は2万8000人を超えたとの新聞報道があったばかりですし、脱北者のニュースも頻繁に耳にします。

でも、ニュースは事実を伝えはしてもなかなか本質を伝えてはくれません。
報道に戦慄したとしても翌日になれば、きれいさっぱり忘れてしまうのが私の常でした。

想像力を働かせて、それで実際に何が出来るのか。
残念ながら私に出来ることはほとんどありません。
でも、それでもいい、目を背けずに関心だけは持ち続けてほしいとこの2作は訴えています。

「クロッシング」サイトはこちら

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ジョン・アーヴィングの意外な怖れ



9月12日にハンブルグでジョン・アーヴィングのリーディングが行われたそうです。
なにしろアーヴィングがいちばん好き! と公言してはばからない私ですがさすがにドイツは遠すぎる。

たまたま現地在住の知人が出かけたそうで、おもしろい話がきけたよ、ということだったので以下、一部を翻訳してみました。

−あなたの小説に登場する父と息子はいつも置かれた状況から逃げようとしますが、それはなぜなのでしょう?

私がこの世でいちばん恐れていることは、誰かが私と息子を殺しに来るのではないかということ。だから物語の中で父と息子は逃げ出してさまざまな体験をすることになるのです。

私には3人の息子がいます。長男が生まれたのは大学生の時で、最後の子はかなり年取ってからの子です。40年以上にわたって家には誰かしら息子がいたわけですが、その中の誰かを失うのではないかと怯えていました。

「Last Night In Twisted River」のカバーに使っている木の写真は大学在学中の末っ子が昨年冬に撮影したものです。写真を撮るため、冬の間2人で何度も出かけたのですよ。
春にもう一度その木を訪ねてみると、かなりのダメージを受けていました。昨年の冬が最後のチャンスだったようです。

−「Last Night In Twisted River」はボブ・ディランの曲に触発されたという噂がありますが?

それは正しくないですね。私は自分の物語は自分で作り出します。ただ、いつも最後の一行が浮かんでこないと物語に取りかかれない。
今回は車の中でボブ・ディランを聞いたあとで、その最後の一行が浮かび上がってきたということす。
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