噂の二人
カレン(オードリー)とマーサ(シャーリー)は高校以来の親友。二人で寄宿制の女学校を運営しています。
学校がようやく軌道に乗り始めたところで、カレンは医師のジョーと結婚を決意。
ところが、これからというときに、子どもたちの嘘が大勢の人生を狂わせてしまうのです。
生徒が保身のために口にしたでたらめがきっかけとなって、マーサは心の奥に隠されていたカレンへの想いに気がついてしまいます。
最初はその事実を受け入れられなかったカレンですが、しばらくするうち、マーサの想いに応えてもいいのかもしれない、と気持ちが揺れ始めます。カレンはなにも語りませんが、表情やしぐさが心の振幅を現しているように見えるのです。
それは当然マーサにも伝わります。
今ならそこでハッピーエンドという結末もありなのでしょう。しかし、たとえ二人が気持ちを確かめ合ったとしても、当時の社会(1960年代)では彼女たちの居場所はどこにもありません。
マーサは惨めな人生を予見したのでしょう。しかも、ジョーの人生さえ踏みにじることになってしまいます。
受け入れられたい。
でも、受け入れられたら破滅しかない。
マーサの決断はひどく苦しいものになりました……
ラストシーン、オードリーが頭を垂れる人々の間を歩いて行く姿は印象に残ります。顎をあげて実に堂々と闊歩します。決意を秘めた視線を空に向け、カメラのフレームを横切って消えてしまう幕切れは鮮やかでした。
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