トリコロール 青の愛
監督自ら「自由な愛」を描いたという発言を残していますが、奔放なラブストーリーとは対極の映画です。
喪失の悲しみから自由になって、再び愛をつかみなさい、ということなのかもしれません。
ジュリーは作曲家の夫と息子を事故で失ってしまいます。これ以上なにかを失いたくない彼女は、世間から身を隠し、ひたすら内にこもります。
彼女が空ろな日々から抜け出すきっかけは、愛ではなく怒り。
捨てたはずの夫の遺作をどこからともなく入手した仕事上のパートナーが、曲を完成させると無断で発表したこと、そして愛人の存在。
この二人と向き合うことでジュリーは悲しみを克服していくのでしょう。怒りや嫉妬を別な形で昇華させたジュリーに拍手。
それにしても、ジュリーは終始表情を消しています。心の空しさがひしひしと伝わるようで、見ていて辛いのでした。握った拳を石垣にこすり続けながら歩いていく場面は本当に痛みますよ、心も、肉体も。
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