Un gato lo vio −猫は見た

映画やらスポーツやら小説やら、あれやこれや。
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トリコロール 青の愛



監督自ら「自由な愛」を描いたという発言を残していますが、奔放なラブストーリーとは対極の映画です。
喪失の悲しみから自由になって、再び愛をつかみなさい、ということなのかもしれません。

ジュリーは作曲家の夫と息子を事故で失ってしまいます。これ以上なにかを失いたくない彼女は、世間から身を隠し、ひたすら内にこもります。

彼女が空ろな日々から抜け出すきっかけは、愛ではなく怒り。
捨てたはずの夫の遺作をどこからともなく入手した仕事上のパートナーが、曲を完成させると無断で発表したこと、そして愛人の存在。

この二人と向き合うことでジュリーは悲しみを克服していくのでしょう。怒りや嫉妬を別な形で昇華させたジュリーに拍手。

それにしても、ジュリーは終始表情を消しています。心の空しさがひしひしと伝わるようで、見ていて辛いのでした。握った拳を石垣にこすり続けながら歩いていく場面は本当に痛みますよ、心も、肉体も。
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第三の男

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CMの罪。
緊迫のシーンでいきなり流れ出すシターの陽気な音。対決する二人がにっこり笑って乾杯するんじゃないかとあせりました。
音楽が流れるたびにビールを飲みたくなって困ります!

ラストシーンは格好良かった。
画面の手前から奥に向かってまっすぐに伸びる墓地の通路。恋人の埋葬に立ち会った女性が背筋をのばし、正面を見据えて歩いてきます。
男が道の端で彼女を待っていますが、彼女はちらとも視線を向けずに画面から消えていくのです。緊迫の長廻しでした。

金のために正義を売ったハリー。逮捕の協力を要請されるマーティンもまた代償として金を要求するのですが、これは本意ではないでしょう。
「金のため」という理由付けを自らに納得させなければ、20年来の親友を警察に渡せなかったのではないでしょうか。

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犬は勘定に入れません

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猫好きの皆さん、おめでとうございます。猫が絶滅する未来をコニー・ウイルスは救ってくれました。
 
犬好きの皆さん、おめでとうございます。チャーミングなブルドッグに魅了されることうけあいです。

ミステリー好きの皆さん、おめでとうございます。本格ミステリーです。消えたヴィクトリア朝の花瓶の謎に挑んでください。

SF好きのみなさん、おめでとうございます。あの「ドゥームズデイ・ブック」の姉妹編! 時間旅行の醍醐味を思う存分味わえます。

コメディ好きの皆さん、おめでとうございます。ネッド君とヴェリティのかけあいはもちろんのこと、ユニークすぎるヴィクトリア朝時代の登場人物たちが笑わせてくれます。
 
そしてすべての物語好きのみなさん、おめでとうございます。ここには物語を読む楽しみがすべて凝縮されています。足りないのは殺人だけ。こんなにうきうきする小説はめったにお目にかかれるものではありません。
 
絶望の小説なんかくそくらえ、です!

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2001年宇宙の旅



なんど観てもわけがわからずため息をつき、そしてまた観たくなる。まちがいなく名作です。
私は冒頭の「ツァラトゥストラかく語りき」から「美しき青きドナウ」へとBGMが移り変わるシーンが特に好きです。

昨夜たまたまTVをつけたら、浅草キッド、中条先生、森本レオの4人が「2001年…」について熱く語っているではありませんか。おお、なんだこりゃ、と思わず見入ってしまいました。

この映画ってほんとに語り合いたくなるんですよね。他の人がどう感じているのかとても興味がある。

水道橋博士が、クラークの原作群を引き合いに出して、クラーク版「人類進化史」の一章ではないかと論じはじめたところで、森本さんが「クラークは既にキューブリックについていけていないから、原作は無視して考えた方がいい」という趣旨の発言。これには一同唖然。見ていた私も口をあんぐり。いやあ、大胆です。
そして森本さんはゾロアスター教の教義にキューブリックの意図を求めるのですが、これがなかなかオリジナルでおもしろい意見でした。
森本さん、本を書いてくれないかなあ(そして朗読も!)。

年末、cinefil imagicaはキューブリック特集だそうで、一挙6作品公開。おお、全部みるぞ。
楽しい年の瀬になりそうです。
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