Un gato lo vio −猫は見た

映画やらスポーツやら小説やら、あれやこれや。
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オール・アバウト・マイ・マザー

JUGEMテーマ:映画


映画の終わりはエンド・ロールでキャストやスタッフが紹介されますが、この作品のロールは、これを見るだけでアルモドバル監督の気持ちが伝わってくるというものです。

メインとなる女優数名の名前だけなのですが、画面中央に小さく表記されていたものが、突然ぼよーんと画面の外に飛び出るくらいの勢いで拡大されちゃいます。

「女性はすばらしい」「女性は強い」「女性は太陽だ」「女性よありがとう!」
監督はきっとこの映画でその気持ちを伝えたかったのだと思います。
もちろん、「男に生まれてしまったけれど心は女性」な人々にも同じ気持ちのようです。
タイトルにしても、特定の誰かを指しているのではなく、すべての女性を自分の母親なのだと宣言しているように感じます。

すごく気になる監督です。

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傀儡

JUGEMテーマ:読書


坂東眞砂子さんの描く女性は相変わらず強いのであります。

北条時頼暗殺を目論む武者、その武者に夫を殺され復讐を誓う農婦。中国から渡ってきた行者の沙依拉夢はそんな人々とであいながら、真実の光、涅槃を求めています。

やがて彼はある心境を得るのですが、傀儡女の叉香は生まれながらに、その上をいく人生を実践しています。
「人生はあそび。すべてが神様に捧げるあそび。だから気ままに生きればいい」。このあっけらかんとした強さとしなやかさにはあこがれます。そしてなぐさめられます。

傀儡といえば思い出すのは隆慶一郎。
権力者と互角に渡り合う隆さんの傀儡子一族と、しなやかに、流れるままに暮らす坂東さんの傀儡。読み比べるのもおもしろいですよ。

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ザ・ロード

JUGEMテーマ:読書


もう日が差すことのない空の下、親子二人がひたすら南に向かって歩き続けます。このままでは冬を越せないのです。自分たちのほかにどれほどの人が生き残っているのかも分からず、時折遭遇する彼らとは、食糧を巡って命のやりとりが常につきまとう。
父親は自分の死が近いことを自覚しており、世界がふたたび光にあふれる場所となる見通しもなく、いくら歩き続けてもたどり着く先には絶望が待つのみ。
子どもが巡り会う奇跡のような出会いさえ、最後はあきらめに終わることが明白です。

この小説がアメリカで170万部も売れ、ピューリッツアー賞を受賞し、さらに映画化されると聞いて、驚いています。ここには出口のない絶望しか書かれていないのですから。
アメリカという国が、今本当に病んでいて閉塞感に苦しんでいるのだろう、ということと、そんな中でもこの物語をベストセラーにしてしまう底力の両方を感じるのでした。

ああ、それにしても…
人は闇から生まれて、ほんの一瞬輝き、また闇に消えていく花火のようなものだと、飯島和一は「出星前夜」の中で語っていますが、世界が終わってから生まれたこの子は輝くことすらないのです。それでも生きようとする。希望のない世界を生きるとはどういうことなのでしょう… 恐ろしすぎて想像できないのであります。
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口は災いの…

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廃道となった穴だらけの林道を揺られること1時間。そして一睡もせずに藪をこぎ、沢を登ったり降りたりすること11時間。
お調子者の口が勝手に喋った結果がこれなんです。

「写真を撮ってみたいなあ」毎年、舞茸取りに秘密の山中へ繰り出し、われわれを堪能させてくれる「蔦家」のマスターが今年もそろそろ出かける、と聞いたとたん、深く考えもせずに口のやつが勝手に喋っていたのです。

持参したカメラ関係の荷物が3キロ。その他、水や非常食、着替えなど。非アウトドア派の私には拷問でした。
ただ、10数年ぶりに見た天の川、闇に浮かぶ七輪の火、マスターの料理、清々しい緑、清冽な沢。拷問の報酬としては対価以上かもしれません。

肝心の舞茸の首尾ですが、新潟市西区の皆さん、直接「蔦家」さんに出かけて確かめて下さい。今週中ならおいしい思いができるかも。

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そば屋の幸せ3

JUGEMテーマ:地域/ローカル


東京在住の友人が帰省した際に「野のや」さんへ案内したところ、「おいしい!」と喜んでもらい、さらに「そばがきぜんざい」に感激(うーん、あのもちもち感!)。その友人から「上京したときは、お返しに近所のおいしいそば屋に案内する」と約束をとりつけておりました。

行ってきました。フェルメールの帰りに。
細長くこぢんまりとしたお店で、白熱灯の灯りもいい感じ。お客さんの回転もよく、人気のようです。ただ、丼物と蕎麦のセットがお薦めのようで、「ああ、そういうお店なのか。蕎麦は、どうかなあ…」。

ところが、なんですよ。
一口すすった蕎麦に妙な馴染み感が。香りも良く、少し堅めのゆで加減。うまいんです。「この蕎麦、食べたことあるみたいだ」。そう話しかけた私の視線の先に、見覚えのあるおじさんの写真が! 高橋名人と店主のツーショットなのであります。
そうか、達磨一門のお店だったのか。
連れてきてくれた友人に、新潟の「野のや」さんと親戚みたいなお店だと教え、お互いにその奇遇さに驚きつつ、おいしくておかわりなんぞ頼んだのでした。

そうそう、店名は「吉祥庵」。目白駅すぐそばです。

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フェルメール展

JUGEMテーマ:美術鑑賞


まだ見ぬ恋人に会いにいく、といった気分にさせてくれる展覧会が来ています。そうなんです、フェルメール展なんです。

画集やテレビでその静かなたたずまいに見とれていると、「この作家は、自分だけが知っている世界のささやかな秘密なのだ」と錯覚します。「おれが観に行かなくてだれが観に行くのだ」。そして、錯覚している同類たちのなんと多いことか。
8月から12月までの長丁場だし、夏休みも終わったし、ゆっくり絵の前に立てるよな、と思って出かけた先日の雨の日曜日。あまかった… フェルメールに恋する人たちは想像以上に多かったのでした。

チケット購入と入場待ちで30分以上並ばされてしまい、会場内も当然大混雑。雨なのに。
そうか、おれの恋人ではなかったのだ。フェルメールはアイドルだったのだ。一気に熱が冷めてしまい、そして自分もその一人なのに、人に酔ってしまい、浮かれ気分は霧散。急に手の届かなくなった存在を遠巻きに眺めるのでした…

日本滞在中に、なんとか差し向かいでもういちどお会いしたいものです。

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