隠された記憶
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一家を監視するビデオテープを送りつけた人物がだれなのか、それを推理することは放棄しました。ジョルジュ本人なのかとも思いましたが、自殺したマジッドの息子と彼の息子が知り合いであることを示す最後のシーンでわけがわからなくなってしまったもので。
ひとに言えないやましい行いや思いというのは、だれもがひとつやふたつ抱えているものだと思います。それがだれかの一生を左右するようなものであったと自覚してるなら、一生後悔の念につきまとわられるのは必至。ジョルジュは送りつけられたビデオによって過去の行いを思い出し、次第に高まる自責の念に苛まれ、おそらくもう以前の彼ではいられなくなるでしょう。
一方妻は妻で現在進行形のやましさを抱えているようで、ビデオが自分を監視の対象にしたものではないかとおそれているようにも見えます。だから、穏やかな風貌に似合わない攻撃的な口調で、犯人解明を引き延ばす夫をなじるのではないでしょうか。
いすれにしろ、何の変哲もない一見平和な生活も実は危うい均衡の上に成り立っていて、簡単に崩れ去ってしまうものなのだ、と改めて背筋が寒くなってしまいました。
そしてまた、ひとは心の闇とどう向き合っていくべきなのか、という問を突きつけられたように思います。
自分の記憶に残っている以外にも、意識の奥底に封印されたものがあるはずです。封印されているということは、自分の行いであれ、他人の言動であれ、自分を傷つける種類のものでしょう。それが表に出てこないことを望む気持ちがある一方で、いつかは向き直って精算しなければならないという覚悟を迫られているような気にさせられるのでした。
くわしくはこちら。