巨人と青年
この映画の本質部分とは関係のない(?)最後のシーンが気になって仕方ありません。
生きながら伝説になっている老作曲家とその妻。そして仕事を手伝う若い女性。作曲家と若い彼女の間にはこどもが産まれることになります。こどもを望みながら恵まれなかった妻は彼女を受入れ、3人で奇妙な同居を始めることに。
傍目には老夫妻の娘に孫ができて、幸せに同居しているように見えるところが複雑な気持ちになります。事実は一夫多妻なのですから。
妻は夫の性癖を知り尽くし、そのうえで理解を示す、あるいはあきらめを持って若い娘とこどもを受け入れる。
冗談じゃない、わたしは出ていく! ふたりで楽しく暮らしてください! と言えない妻が切ないです。芸術家としての夫の才能を愛しているのか、困った性格も含めてあるがままを愛しているのか、それとも日々の積み重ねが別れることをためらわせるのか。
作曲家はもう先が長くなさそうです。そして、彼に再び作曲の情熱をよみがえらせてくれた青年が、もしかしたらこの疑似家族に加わる予感が漂っています。この幼子は奇妙な家庭でどんな運命をたどるのだろう? そんな設定で続編を作ってくれないかなあ。
そうそう、40年ぶりに作曲した交響曲(合唱付き!)ですが、フォルテの連続、単調なメロディの繰り返しが辛かった… 演奏場面はカットして、観客の想像力に曲のできばえをゆだねた方がよかったかも。