Un gato lo vio −猫は見た

映画やらスポーツやら小説やら、あれやこれや。
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バルベルデ

日本にいるにわかファンには分かりづらいのですが、サイクル・ロードレース界のドーピング対策ってものすごく曖昧な印象を受けます。
検査機関内でサンプルを取り違えたとか、破損させたとか、信じられないことがたびたびニュースに取り上げられ、機関の体制そのものが批判されていますよね。そして、結果を受けて裁定を下す競技関係団体が複数存在するって、どういうことなんでしょう。Aという団体はクロと裁定し、Bはシロと裁定するなんて他のスポーツにはおそらくありえないでしょう。しかも噂レベルの情報にまで敏感に反応して、その真偽さえ明らかでないのに出場を停止する。それもビッグレース直前に… これでは選手が可哀想すぎます。
もちろん、定められたルールに従わない選手に同情の余地はありませんが、もっとわかりやすく、公正なシステムをつくらないとファンが逃げていくと思います。ランディス、ウルリッヒ、バッソ、ハミルトン、ヴィノクロフ、ラスムッセン、バルベルデ、… 有力選手はのきなみ出場停止/引退じゃないですか。
ブエルタ直前ですが、また嫌なニュースが飛び込んでこないことを願うばかりです。
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ハッカビーズ



Shania Twainファンのみなさまおめでとうございます! ストーリーがすすむにつれ、これは出るぞ、出るぞ、と期待していたのですが、本当に登場してしまいました。一瞬でしたけどね。日本のメディアではまずお目にかかれないので、「動く」彼女を眼にしただけでもめっけものでした。どうせなら、ガースも、ディキシー・チクスも、サンプラスも登場させて欲しかった!

ダスティン・ホフマンはコメディをやらせるとほんとうにうまいですね。なにか、こう、楽しんで演技している雰囲気がすごく伝わってきます。
哲学探偵、というのが笑ってしまいます。依頼人を見張り続けて、彼/彼女の本質を分析するなんて、おもしろそうな仕事。ヴォネガット的であります。仕事といっても、訳の分からないことをつぶやいているうちに、依頼人が勝手に答えを見つけて納得してしまうんですけどね。二人の事務所で働いてみたい!

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hanafusa



昭和40年代に建てられたとおぼしき木造アパート。画期的な「アルミサッシ」窓。戸袋。コンロがひとつしか乗らない流し台。すぐに詰まるトイレ。窓の外は無粋なコンクリート塀。二階には口を利いたことのない中国人。
東京は最先端の街、というイメージがありますが、23区内の一般的な住宅地はまだ大半がこんな雰囲気だと思います。とてもリアルな空間。
既に同棲生活に破綻をきたしたカップル、そして彼女の妹を含めた三人の、最後のおまけのようなやりとりがそこで展開されるのですが、アンチ・クライマックスな会話が続き、それがさらにリアル。映画というより個人的に撮影されたビデオを観ているかのようです。
そして、実際の私たちの会話がそうであるように、じれったくなるほど訥々とした台詞回しが逆に三人の心の内を想像させてくれます。

川越君、仕方ない。男は去り際が肝心だよ。ちょっと遅かったね。
妹よ、それは、単なる感傷、あるいは一時的な同情だと思うよ。住むなら違うアパートだよ。
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そば屋の幸せ



近所にうまい蕎麦屋がある幸せ。
若い頃は、とにかく評判の良い蕎麦屋を食べ歩いたものでした。千円前後の蕎麦をたぐるために近隣県や東京周辺へ出かけることなど少しも厭わなかった。
そして結論。腕の良い職人がまともな材料で真剣に作れば、どれもうまい。拍子抜けするほどあたりまえのことです。
その結論を受けた行動は、近所にうまい蕎麦屋をさがすこと。
亡き杉浦日向子さんファンであったわたしたちにとって「うまい」ということばには、蕎麦は勿論のこと、昼間からゆっくりお酒を呑める店の雰囲気、そして肴も含まれるのでした。

そして、とうとう見つけてしまったのです。
お酒の好きな店主、骨董とお花が好きな奥さん。これは望む以上のお店です。
日曜の午後、好きな人たちとゆっくり呑むお酒。小さな庭や、奥さんの活ける花に移ろいゆく季節を感じる幸せ。

新潟市にお住まいで蕎麦とお酒の好きの方にはお薦めします。
お店をさがす楽しみを奪うのは罪なので、場所は内緒にしておきます。
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靴に恋して



あたりまえですけど、悩みを抱えていない人なんていないんですよね。みんな自分だけが辛いように思うけれど、程度の差こそあれだれもが悩みを抱えて生きています。そして残念なことにそれは必ずしも解消されるわけではない。ただ、そこで留まるのか、それとも新しい靴を探しに一歩踏み出すのか。

血のつながらない義理のこどもたちを養うタクシードライバーのマリカルメン。麻薬中毒の次女は、ここはあんたの家じゃない、あんたが奪ったものをなにもかも返して! とヒステリックにわめきます。ああ、絶望的な気持ちになりますよね。
登場する5人の女性の中では、彼女が心配です。家を出ていた長女と和解することはできたけれど、自分のための一歩は踏み出せるのか? 踏み出してほしいです。

新しい靴を求める女性たちの人生が交錯し合っていることが示されるラストはうまいなあ、と思います。
でも、いい男たちが揃いも揃ってゲイっていうのは、どうなんですかね。女性たちもやってられませんよねえ。
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小指の先の天使



神林長平はSFの枠を越え、もっと一般で評価されるべき作家だと思います。彼のメッセージは首尾一貫しています。あなたは、本当にあなたなのですか? 
私は神林作品を読むたびに、自分がいま現実世界に暮らしていることに自信がなくなります。現実とはなんなのか。私の考えは本当に私が考えていることなのだろうか?
どの作品をとってもすぐれて哲学的で、私に考えることを強要します。

火星三部作、「敵は海賊」シリーズ、「雪風」シリーズなどなど人気作品も目白押しですが、私はこの連作短編集「小指の先の天使」に惹かれます。未来の話なのに郷愁を覚えてしまうのです。特に初期の作となる「抱いて熱く」の瑞々しさがいつも私を誘います。そもそもジャケットの写真が良いですよ、これは。よく見ればかなり手の込んだ加工をしてあるにもかかわらず、妙な暖かみがあり、未来の昔へと誘ってくれる。
そして先に書いたメッセージがストレートに伝わり、自分が自分であることの確信が揺らぐのです。
この揺らぎこそが、神林長平を読む醍醐味!と言わせてください。

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愛の果てへの旅



久しぶりに救いのない映画を観ました。
20年以上会っていない親友だけが自分のことを思い出してくれるだろう、と結ぶけれど、あれでいいのか…

わけあって「生活を盗まれた」ジローラモは10年近いホテル暮らし。日々に倦んでいて、誰に対しても自分の気持ちをうまく表現できません。ようやく、ホテルのウエイトレスとの間に何かが芽生えそうになり、絶望から這い出せるのかと期待したとたん、負の歯車が回り出す。そして抗うことも叶わず、ラストシーンへまっしぐら。辛すぎです。

感情を表に出さないジローラモ(役)の演技はため息ものですね。退屈な人を演じているのに見ている方は、彼の内面を想像せずにはいられなくなります。ウエイトレスも印象的な眼でした。モディリアニの描く女性のような眼。吸い込まれてしまいますよ。

そうそう、この邦題ではイギリスあたりのメロドラマを想像してしまいます。もったいないなあ。
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チェ・ゲバラ−人々のために



ゲバラに対して申し訳ないというか、自分の浅はかさに呆然とするというか、なぜこの歳までキューバ革命に関して無知であったかというと、その名前のせいなのでした。
いかに授業でほとんど触れられなかったにしても、ジョン・レノンの発言であったり、Tシャツにプリントされた姿を眼にして、ゲバラは「知っておくべき人」という認識はあったのです。
しかし、しかし、私の幼い頃は「ゲバゲバ90分」という、とんでもなくおもしろいバラエティーがあり(あっ、と驚く為五郎〜!)、月の家圓鏡が「エバラ焼き肉のたれ」のCMに出まくっていたのです。ゲバラ、エバラ、ゲバゲバ、あほですよね。韻が同じというだけで、なんとなく軽く見てしまって、ま、そのうちに、なんて。
さらに、あの頃は社会主義、共産主義に興味を持っても、メインはマルクスとレーニンであり、革命といえばトロツキーで、中南米のことは脇に置かれていた。
まあ、遅くても気づかないよりましということで、もう一回現代史を勉強してみたくなりました。さすがにTシャツは着ないと思うけど。
それにしても、この写真は本当にすばらしい。手に入るものならプリントが欲しいです。
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ロスト・イン・ラ・マンチャ



映画は総合芸術と言いますが、制作現場をこうも詳細に見せられると、本当にその通りなんだなあ、と納得してしまいました。出資するパトロンがいて、脚本があって、建築、ファッション、そしてカメラと、一つのシーンの後ろでこんなに大勢の人が関わっているんですね。百聞は一見にしかずというところでした。

でも、ロケ地やスタジオの下見も済ませずに撮影に入るものですかね?
じつはこの映画は最初から資金集めのためのプロモーション用だったりして。
「ほら、このシーンおもしろいでしょう、すごいでしょう、最後まで観たいでしょう、だから出資してね」と。私は完成作を観たいと思いましたもん。

ギリアム監督にそこまで執念を抱かせる「ドン・キホーテ」を読んでみたくなりました。結構みんな挫折するみたいですけど。

監督は「鼓童」ファンなんでしょうかね。色違いの「鼓童」Tシャツを2枚着ていました。佐渡でロケやらないかなあ。
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ヴァレンティン



幼い頃はなにもかもが思いどおりにはいかず、頼りなかったことを思い出しました。ヴァレンティンは幼い子にしては物怖じしないし、服装に気をつかうようなちょっと大人びたところもありますが、両親の不在という哀しみが心を離れることはありません。
だからヴァレンティンは他のおとなたちの哀しさにも敏感です。健気にもおとなたちの破れた心を繕おうとするのですが、うまくいくこともあるし、いかないこともある。そして人生なんてそんなものだと、あの歳にして言えるところが可愛くもあり、切なくもありますね。
ラストシーン。いかにも幼い人が考えたみえみえのアイディアですが、うまくいきそうな予感ににっこり微笑むことができます。

父親の彼女とデートする場面は素敵でした。ひとは誰でも楽しい思い出を持つべきですよね。

シネフィル直輸入映画
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