Un gato lo vio −猫は見た

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パンズ・ラビリンス   ギレルモ・デル・トロ、コルネーリア・フンケ

政府軍とレジスタンスが戦いを繰り広げる内戦下のスペイン。仕立て職人の父を亡くしたオフェリアと母のカルメンはレジスタンス掃討部隊のビダル大尉に引き取られ、ガリシアの森の中にある作戦本部へ移ることに。しかし、ビダルは残忍な性格で、関心はレジスタンスを壊滅させることと自分の息子を設けることのみ、母娘には全くの無関心でした。

 

悲嘆に暮れたオフェリは古い納屋を覗き、そこにパン神が彫られた不思議なアーチを見つけます。するとその夜パン神が現れ、彼女が数百年前に亡くなった地底王国王女の生まれ変わりだと告げ、本当の両親の元に帰るための3つの試練を授けるのでした。

 

いやはや、子供向けファンタジーかと思いきや、現実世界の厳しさを容赦なく突きつける胸塞がる物語でした。オフェリアは己の弱さに負けて試練をかいくぐることができず、逆転ホームランのチャンスを与えられてもホームインはできないのです。

 

まだ子供に過ぎず、絶望的な環境下に置かれた彼女が「現実はおとぎ話と違う。マジックなど存在しない」という事実を突きつけられたまま退場してしまったことに唖然としてしまいました。申し訳程度のエピローグではオフェリアが可哀想すぎるというものです。人々が理解し合えば世界はより良くなるといった甘い希望はおとぎ話にしか存在しないよ、と無慈悲に語る恐ろしい一冊でした。

 

物語の悲惨さとは逆に、装丁の美しさには感嘆の声を上げたくなります。ジャケットは凹凸を施すなど凝りに凝っており、さらにその下の表紙にも美しいカラーのイラストが表裏全体に描かれています。造本の美しさは2019年のベストでした。

 

ギレルモ・デル・トロ監督による2006年の同名映画脚本をドイツの作家コルネーリア・フンケが小説化し、2019年に出版されたものです。映画も見なくちゃ。

 

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