Un gato lo vio −猫は見た

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蘆刈   谷崎潤一郎

月に誘われて淀川の堤を散策していた語り手は川の中州で不思議な老人に出会い、十五夜にまつわる思い出話に耳を傾けることになりました。

 

老人は子供の頃、十五夜の夜になると決まって父に連れ出され、巨椋池の畔にある広壮な別荘の生け垣から中をのぞき見ていたと言います。2人の視線の先には裲襠をまとって琴を弾く女主人と賑やかな取り巻き達。子供の目にも美しいその女性は、今は逼塞した父がかつて愛した「お遊さま」。2人の間に繰り広げられた物語は実に奇妙なものでした。

 

お遊さま、その妹の静、老人の父である時雄が繰り広げる不思議な三角関係、そしてあこがれの女性に隷属しようとする男の姿は私が愉しませてもらった谷崎小説に共通のもの。短い物語りながらも谷崎世界を堪能し、妄想を広げられる佳作でした。

 

「卍」の光子のように関係者全員を破滅に導くようなことはせず、新しい境遇にあっさりと順応してしまうところが別れた男にとっては辛いところかなあ。

 

そして、この話を物語った老人は、本当に時雄と静の息子なのでしょうか。今も存命のお遊さまを忘れられない時雄の妄念が老人の姿を借りて現れたのかもしれない。

 

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