Un gato lo vio −猫は見た

映画やらスポーツやら小説やら、あれやこれや。
<< August 2019 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
<< クリムト展   東京都美術館 | main | The Accidental Further Adventures of the Hundred-year-old Man ヨナス・ヨナソン >>

東京物語   小津安二郎

小津ファンを自認している以上、「東京物語」は過去に何度か観ているわけですが、名作と絶賛されるほどの映画にしては何かが足りないような気がしていました。同じ監督でも他にもっと面白いのあるけど、なんて。

 

で、いわゆる「紀子三部作」として3作続けて観たら印象が変わるだろうかと思い、再度画面の前に座った次第。3人の紀子は同一人物ではありませんが、続けて観ていると、彼女の持つ結婚観が変化していく様が面白かった。

 

そして片岡義男が言うように、むしろ「周吉三部作」として捉えるととても腑に落ちるものがありました。年老いた独り身の男に漂う哀感をどのように見せるか。理想の「うーん」というセリフを求めて紀子に様々な役を割り振ったという意見に一票入れたいですね。

 

そしてもちろん、この映画単独で観ても面白さが損なわれることはなく、やっぱり世の評価に値する作品だなと再認識。

 

そう思ったのはおそらく、デジタルリマスター版で観たからです。以前目にした画面では、親をないがしろにする子どもたちの薄情さと残された父の哀しみに覆われた陰鬱な印象が強かったのだけれど、修復作業のおかげで画面が一気に明るくなり、台詞も明瞭で、それだけで全く違う映画のように感じてしまいました。

 

明るい画面で観ると、家族のあり方は年月と共に変化するものだ、それは仕方のないことだという諦観があっけらかんと表現されるように思います。その後、高度経済成長へと向かう街も明るい雰囲気に満ちあふれ、いつまでも戦後じゃないという気概さえ感じられます。亡夫の両親に孝養を尽くす紀子も過去を捨て(「私、狡いんです」)、新しい自分の生活に向けて一歩を踏み出す覚悟を決めているのでした。

 

そうそう、人をイライラさせる杉村春子はとても演技に見えない。全く以て素晴らしい。

 

JUGEMテーマ:映画

映画 | permalink | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |

スポンサーサイト

- | permalink | - | - | pookmark |

この記事に対するコメント

コメントする









この記事のトラックバックURL
http://gatos.jugem.jp/trackback/687
この記事に対するトラックバック