Un gato lo vio −猫は見た

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銀の匙   中勘助

小さい子供は程度の差こそあれ、この小説の主人公のようにナイーブで傷つきやすく、自分の思うままにならないじれったさにやきもきしたり涙をにじませたりするものです。作者の中さんは幼子の繊細な心の動きを慈しむべきものとして詩的に描いていますが、私としては幼い頃のやるせなさがリアルに思い出され、二度とあんな思いはしたくないと身震いしてしまうのでした。

 

「銀の匙」という物語を尊いものにしているのは同居する寡婦の伯母さんの存在だと感じます。生まれつき虚弱な主人公を無条件に愛し、どんなときでも救いの手を差し伸べてくれる菩薩のようです。あまりの献身ぶりによって、彼女の将来に不幸が忍び寄ってくるような不安感が漂い始め、それが現実となる終盤には頁をめくる手が止まってしまいました。愛情にあふれた善意の人が不幸の中に人生を終えてしまうやるせなさがあるからこそ、この物語がいっそう美しく感じられる気がします。

 

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