Un gato lo vio −猫は見た

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憂鬱な10か月  イアン・マキューアン

胎児は胎内でどのような日常を送っているのでしょう。心臓をはじめ、胃、腸、膀胱など、母の内臓が活動するさまは感じているような気がします。では、母体が摂取する飲食物を血液の変化という形で認識するものなのか、また、外界で交わされる会話、環境音、音楽が何らかの形で伝わるものなのか、そして羊水と皮膚の向こうに光を感じるものなのか。

誰もが体験済みなのに誰にも答えられない疑問。マキューアンは新作でそこに目をつけています。しかも、この胎児は産まれるべきか、産まれざるべきか、胎内で苦悩するというのですから驚くほかはありません。

愛人と共謀して夫を無き者にしようとする母。計画が成就すれば、産まれた我が子を捨てるつもりで、失敗すれば、刑務所内で子育てをすることになるはず。語り手の胎児にとってはどちらも受け入れがたい運命です。

両親の手元で成長したい彼/彼女は父親殺害を阻止したいのですが、いかんせん起こせる行動は限られています。自らの力で運命を切り開くことが出来るのでしょうか。

マキューアンの小説はいくつか映画化されていていますが、この物語の映像化はハードルが高そうです。でも、難しいことにこそ闘志を掻き立てられる人たちが多いことも事実。どなたかチャレンジしてくれませんかねえ。絶対観に行きますよ。

 

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