Un gato lo vio −猫は見た

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サイの季節

イラン革命前夜のテヘラン。詩人サヘルは妻に横恋慕した運転手が巡らせた策略により、政治犯として30年の投獄生活を強いられることになります。出獄後、ようやく妻ミナを尋ね当てたたものの、彼女は元運転手アクバルによる軟禁状態にあり、しかも2人の子どもが同居していたのです。

サヘルは再会を熱望していたにもかかわらず、妻の行方をイスタンブールの海沿いに尋ね当てた後は、岸壁に停めた車中から彼らの暮らす家を注視したり、外出時に後をつけるだけです。知り合う人たちとも殆ど言葉を交わさず、表情にも乏しい。いったいサヘルは何を思って妻たちを見守っているのでしょうか。

彼の心中をうかがい知るには、映画中に挿入される詩、そして心象を写したとおぼしき非現実的なシーンに頼るほかありません。しかし、監禁部屋に降りしきるカメ、車中に顔を差し入れるウマ、砂漠を疾走するサイの群れを見せられても私の頭は困惑するばかりなのでした。

では、その困惑が苛立ちにつながるかというとそんなことはなく、無心のうちに目が画面に吸い寄せられてしまうのです。やがて、そこに漂う静かな絶望感、あるいは諦観がゆっくりと胸にしみ込み始め、心が不思議な静けさに満たされるのでした。
ある種の宗教体験と呼べそうな、他に例のない映画でした。

50歳を目前にしたモニカ・ベルッチ、良い感じに年齢を重ねていますね。

 

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