Un gato lo vio −猫は見た

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4321 ポール・オースター

アーチー・ファーガソン君の誕生から青年時代までを描いた成長物語。
彼は激動の50年代〜70年代に青春時代を過ごし、様々な喜びや苦しみを経て成長していくことになります。その後の世代として生まれた私は、憧れの時代の雰囲気を自分の肌感覚を通して味わっているような気分に浸れました。ただ、それで終われば、よくできた小説というだけの話。ところが、オースターはこの小説にとんでもない仕掛けを用意していました。

あのとき別な道を通っていたら何が起きたのだろう、違う学校に進学していたらどんな仕事に就いてたのだろう、そんなあり得たかもしれない違う人生を想像することないですか? オースターはその問いの答えを「4321」で示そうと試みているのです。そう、なんとアーチー君の4つの可能な人生を並列して展開しているのです。だからこそ手に取ることが憚られるような分厚さ。つまり4冊分なんですね。

読み進むに従ってタイトル「4321」の意味が分かり始めるし、最後の最後に「百年の孤独」のラストを思い出させるようなオチが用意されています。ええっ、そう来るの?!

並行して進む彼の複数の人生を眺めていると、自分の人生も偶然(あるいは必然?)の積み重ねでここまで到達してきたことを実感するし、その歩みが唐突に断ち切られる可能性だってあるんだと、ある種のあきらめも感じます。人生は自分に都合良いように進んではくれない。

オースターの経歴と見比べてみると、作者自身がモデルなのは明らか。最近、過去を振り返る著作が続いていましたので、その集大成という意味合いもあるのかな。どの人生でも、もれなく恋人が見つかってしまうのは憎いけれど。

 

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