Un gato lo vio −猫は見た

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セザンヌと過ごした時間

幼い身に受けた親切は長じてからも心の拠り所となり、生涯を通じて感謝の念を感じ続けるものです。たとえ、その相手に怒りを覚えることになろうとも。
 

移民の子としていじめられていたゾラは、銀行家の息子セザンヌに助けられ、以後、彼らは親友として少年・青年時代を過ごすことになります。
やがてゾラはパリで作家として成功、セザンヌを呼び寄せ、ともに偉大な芸術を目指すことに。しかしゾラの評価が高まる一方、セザンヌはいつまでも芽が出なかった。

 

極めて自己中心的で粗暴な人格へと変貌したセザンヌ。評価されないことへの苛立ち、成功した友への嫉妬心と折り合いを付けるためには、人が敬遠するほどの破滅的な生活に逃げるしかなかったのかもしれません。
 

そんな友人の心の内を理解し、惜しみない援助の手をさしのべていたゾラも、自著「制作」に対するセザンヌの批判、妻に対する侮蔑に愛想を尽かし、とうとう袂を分かつことに。

その後、2人の間に和解はありませんでしたが、地元に戻ったゾラ一家を離れた場所から見つめるセザンヌの目を見れば、かつての友情を取り戻したいという切ない思いが感じられ、一方、セザンヌに無関心を装うゾラのポーカーフェイスの裏にも、かつて助けてもらった恩義や無邪気な思い出が潜んでいるのは明らか。
 

自分の思いを素直に表現できないほどの地位を獲得したり、歳を取るのは難儀なことです。ただの一声でわだかまりなど消えてしまうと分かっているはずなのに…
 

喜びと苦しみに満ちた友情をそれぞれの作品に昇華させた2人はやはりたいした芸術家です。

 

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