Un gato lo vio −猫は見た

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山椒大夫

安寿と厨子王って哀しいお話しだったのですね。今までまったく知らなかった。これが学芸会の定番演目とはねえ。このお話を演じる園児たちの心は大丈夫なのかな?

映画を観た後で森鷗外の小説も手に取って物語の展開を比較してみたところ、もちろん大筋は同じでしたが、細部にいくつかの相違がありました。
最も大きな違いは、奴婢などの使用人を酷使する荘園管理人、山椒大夫の扱いです。

関白の命で国守となった厨子王の人買禁止令に対し、鷗外版では山椒大夫がおとなしく従った結果、賃金を支払われることになった使用人がやる気を出して、荘園がますます栄えました、めでたしめでたし。

一方映画の溝口版では山椒大夫が禁止令に反発。強制的に身柄を拘束されたうえ、厨子王に解放された奴婢が館に火を放ち、今後の展開にきな臭さを感じる後味の悪さが残ります。

森鷗外は中世の人身売買を題材にして人の世の残酷さを抑えた筆致で淡々と描き、溝口健二は非人間的な扱いに激しい憤りを覚えた主人公の生き残りを模索する執念、悪行は正されなければならないという正義感に重点を置くことで、むしろ人の愚かさを際立たせていたように思います。

それはそうと、昔の役者の演技には緊張感と気品が漂っていて、思わず画面に引き込まれてしまいます。
この映画では香川京子の清楚な美しさにくらっとしました。

 

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