Un gato lo vio −猫は見た

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ヤナ・ノボトナの涙 

ボルグとマッケンローの手に汗握る攻防に夢中になって以来、ウィンブルドン選手権の虜になり、アガシ引退の年まで熱心にテレビ観戦したものです。
数々の名勝負、名場面が思い出されます。その中で、私の心に最も印象深く残っているのは、ボルグの5連覇でもなく、アガシの純白のウエアでもなく、ひいきにしていたイワニセビッチ初優勝でもなく、ヤナ・ノボトナが決勝戦敗退後に流した涙です。

1993年の決勝戦、相手は女王グラフ。第1セットのタイブレークを接戦の末落としたものの、第2セットを6-1で取り戻し、そのままの勢いで第3セットも4-1とリード。初優勝は決定的と思われましたが、ダブルフォルトをきっかけにずるずると5ゲームを連続で失い、まさか、まさかの逆転負け。
表彰式で優勝プレートがグラフに手渡されるとノボトナは感情を抑えられなくなりました。その涙を目にしたケント公夫人がノボトナの肩に腕を回すと、彼女はその肩を借りて泣きじゃくることになるのでした。

後にノボトナはBBCのインタビューでこう語っています。
「翌日新聞を広げたら1面にケント公夫人と私の写真が載っていて、まるで優勝したみたいだった。
負けてしまったのに93年の試合をいちばん誇りに思うと言ったら怪訝な顔をされるかもしれない。でも、あの試合があったからこそ私のプレーは進歩し、人として成長できた」

肩を借してくれたケント公夫人は「あなたならできるわよ」と励ましてくれたのだとか。その後もノボトナはウィンブルドンへの出場を続け、97年は再び準優勝、そして翌98年、3度目の決勝戦でついに優勝。ケント公夫人の言葉が正しかったことを証明して見せたのでした。
愛おしそうに優勝プレートを抱きしめた姿も忘れられません。

がんのため49歳で亡くなったノボトナさんのご冥福をお祈りします。

 

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