Un gato lo vio −猫は見た

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高瀬舟

京都を南北に流れる高瀬川。同心の羽田庄兵衛は弟殺しで遠島に処された喜助を舟で護送しますが、罪人らしからぬ素直な心根を不思議に思い、罪を犯した理由を尋ねてみることに。

幼くして両親と死に別れ、その後も不運に見舞われ続けた喜助兄弟。やがて弟は病を得てしまい、兄に迷惑を掛けたくないと自害を企てますが、カミソリでのど笛を切っても死にきれず、帰宅した兄にひと思いに逝かせてくれと幇助を願います。

医者を呼んでも間に合うはずもなく、苦しみから解放してやろうとした喜助の行為は殺人なのか? 庄兵衛は言葉を失い、二人を乗せた高瀬舟は夜の川を下り続けるのでした。

映画は基本的に小説を忠実に再現していますが、奉行が裁きを下すシーンを加えています。
この奉行、裁かれる人物が置かれた状況を全く斟酌しない杓子定規で情のない役人として表現されています。「だから役人は嫌いだ」と毒づいた私でしたが、しかし、遠島とはいえ、居場所を与えてもらって感謝するという喜助の言葉に、待てよ、と思ったのでした。

仮に無罪を言い渡されたとしても、喜助はこの世に身よりも居場所もありません。仕事を得られるかどうかも定かではない自由な暮らしより、罪人として住む場所を与えてもらった方がまし。もしかしたら、あの奉行はそこまで察して有罪を言い渡したのではなかろうか。でなければ、わざわざ付け加えた意味もないような。

共に小品ながら余韻の残る映画と小説でした。

 

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