Un gato lo vio −猫は見た

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終わりの感覚



思い出すたび、どこかの穴に逃げ込みたくなる負の記憶はいくつもあります。でも本当になかったことにしたいほどおぞましい記憶は、脳が消し去っているかもしれません。
人生も終盤にさしかかって、消し去った記憶と対峙しなければならなくなったら……
ああ、恐ろしい。

学生時代につきあっていたベロニカの母親から遺産を残されたアントニー。その中身は500ポンドという中途半端なお金と若くして自殺した親友エイドリアンの日記。
何が書かれていたのか、そしてなぜ母親が日記を持っていたのか興味を惹かれたアントニーは引き渡しも求めるも、ベロニカは拒否。

いったい、何が起きたのか。
ベロニカにまつわる屈辱的な記憶やエイドリアンとのつきあいを過去にさかのぼって探るうち、やがて記憶は揺らぎだし、そして意外な事実を突きつけられる……

バーンズってこんな分かりやすい物語も書くんだ、と驚きつつも精緻な構成には脱帽。
でも登場人物に共感して楽しむというよりは、紡ぎ出される文章からさまざまなことを考えさせられることになりました。

個人的には、学生だった頃の自分の粗暴さ、傲慢さを思い出させられてしまい、実に苦い気分に浸りました。「それが若いということ」だというバーンズの文章も慰めにはならないなあ。
自分一人が苦り切っているなら特に問題はないけれど、誰かの人生に傷を負わせるようなことしておきながら記憶に蓋をしている…… なんてことがありませんように。

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