Un gato lo vio −猫は見た

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ピクニック

パリの裕福な商人一家が涼を求めて郊外の川岸でピクニックを楽しんでいたところ、地元の女たらしが母娘に目を付け、まんまと誘惑に成功。互いにつかの間のアバンチュールを楽しむという、1時間弱の小品。

降り注ぐ陽光、吹き渡る風、きらめく川面、そして人生を楽しむ人々。ありふれた景色がとても魅力あるものに感じられるこの感覚は、ある種の仮想現実体験と呼びたくなります。以前から、優れた画家の目に世界はどのように映っているのだろうと想像してきましたが、この映画を通して、彼らの心に映る世界を自分の目で確認しているような心持ちになりました。

観客が体験するのは、もちろん印象派の絵描きたちの感覚です。監督ジャン・ルノワールはピエール=オーギュスト・ルノワールの息子。父を尊敬し、大きな影響を受けたのは間違いないでしょう。随所に印象派の作品を思わせる構図が見受けられ、モノクロ映画にもかかわらず(いやモノクロだからこそかな)、あふれる陽光が眩しく感じられました。


そうか、彼らの眼にはこんな世界が広がっていたんだなあ。

終盤に用意される天候の急変場面がもっとも印象に残りました。日射しいっぱいの青空が一天にわかにかき曇り、沸き立つ黒雲が風に流される。やがて豪雨が川に降り注ぐシーンは、まさに動く印象派絵画といった趣でした。

この映画のおかげで、新たな視点で絵画鑑賞を楽しめそう。

 

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