マネ 日曜美術館
マネは私にとって理屈抜きに訴えかけてくる作家です。
描かれる人物の視線にどうしても抗うことができないのです。
初めて「鉄道」を目にしたとき、読みさしの本からふと顔を上げた若い母親の表情に心を奪われ、いつまでも立ち去ることができませんでした。
「あら、こんにちは」と挨拶された私は、そうです、一目惚れしてしまったのです。
「すみれの花束をつけたベルト・モリゾ」も同様。
よく見ると目の焦点が合っていないような表情なのですが、その視線は私の心の底を見通しているようで、蛇(というには美しすぎますが)に睨まれた蛙状態でその場に立ちつくしてしまうことになりました。
マネもまた制約だらけの古典的な世界に疑問を感じ、発展を遂げ始めたパリで新たな題材、新たな手法を模索していたと知り、作品を見る楽しみが広がったように感じます。
写真を意識していたのだろうということですが、なるほど、一瞬の姿の中に真理、あるいは美を見いだそうとする手法は写真的ですね。
ゲスト、イッセー尾形の妄想はなかなか楽しかった。
描かれた人物たちの心の内を勝手に想像して楽しんでいるのですが(うちの妹もここに就職したいって言ってるけど、どうなのかなあ)、姜さん的にはちょっとついて行けないらしく、笑みがこわばっていました。