Un gato lo vio −猫は見た

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ツインピークス・ザ・リターン

放送は1年前ですが、ようやく見終わりました。これ、オリジナルドラマのファンでも相当数の人がついて行けなかったのではないかと想像されます。

リンチは何らかのメッセージを視聴者に伝えようとしているわけではない。これが今回ドラマも含め、長年リンチ作品を楽しませてもらった私の感想です。謎めいた場面ばかりで、見る側はそこに意味を探ろうとしますが、実は隠された意図などないのです(たぶん)。

表現欲求が旺盛で人並み外れた技法を有しているために、ついつい不可思議なシーンを作りすぎてしまうのだと想像します。技術力を駆使したくて仕方ないのでしょう。視聴者も頭の中が「?????」だらけになっても、圧倒的な映像の魔力に抗えない。

この体験って何かに似てると思ったら、現代アートを目にしたときの感覚に近いものがあります。強い意志と技術力は感じるけれど、(私には)普遍的価値が感じられない。ただ、前衛芸術は時代が移れば異なる評価を受けるものです。ツインピークスを含めたリンチ作品が20-21世紀の傑作と呼ばれる日が来ないとも限らないですよね。

そうそう、今回シリーズにひとつだけ古典的物語の要素がありました。エドとノーマとネイディーンの三角関係に決着がついたのです。この3人の物語を縦軸にツインピークスを再構築したら総合小説的世界が立ち上がりそう。

 

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大岡越前(第1部)



「新・御宿かわせみ」見たさに契約した「時代劇専門チャンネル」でしたが、懐かしく気になる番組がいろいろあって、未だに解約できない。

現在は「大岡越前」第1部を興味深く見ています。シリーズの1作目はやはり制作者の気合いが感じられますね。第1話は、忠相が江戸南町奉行に抜擢される経過を描いたもの。冒頭、忠相が後の将軍吉宗を「狂人、白痴」呼ばわりして捕縛するくだりには口がぽかんと開いてしまった。

「水清くして不魚住」と言いますが、この言い回しは権力者の方便っぽくてあまり好きではありません。そりゃ、そうなんだと分かっているけど、世の中灰色ばかりでは気がくさくさしてしまうというもの。
そんなところに「清廉潔白」「実直」「慈悲」といった価値観を堂々と掲げ、あくまでも清々しさを貫き通す大岡忠相像に人気が出るのは当然ですよね。

信念を曲げない大岡忠相の人物像って、同時期に放送されていた「大草原の小さな家」の父さんことチャールズ・インガルスに重なるものがあります。
高度経済成長の余韻に浸っていた1970年代前半。日本でも米国でも、人々はさすがに「儲けるためには、ナンバーワンになるためにはどんな手段を使っても構わない」というあこぎさにうんざりしてきた、というところで、この2つのドラマが日米で人気を博したのではないかと想像(こじつけ)するのですが。

不利益を承知で美しい価値観を貫き通す大岡忠相とチャールズを嘲笑うような世の中にしてはいけない、と思うのでした。
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新・御宿かわせみ



いやあ、嬉しい。
「新・御宿かわせみ」のドラマ版がスタートするとは聞いていたのですが、主要登場人物がなんとオリジナルキャストで再登場! また、あの面々に会えるとは。
みなさん元気で良かった。

「御宿かわせみ」は何度もドラマ化され、その度ごとに俳優陣がそれぞれの平岩ワールドを展開してくれました。
でもねえ、やっぱり東吾は小野寺昭、るいは真野響子なのですよ。
特に、芯は強いけれど惚れた東吾には頼り切ってしまうるいのキャラクターは真野さんがぴったり。
原作を読んでも真野さんの顔が浮かんできますからね。

新シリーズがどれくらいのペースで進んでいくのか気になるところです。
原作は今のところ4冊出版されていますが、私が読んでいる文庫版は3冊目まで。この段階ではまだ行方不明の東吾は登場していません。
ドラマの進行が早すぎて文庫に収められたストーリーを追い越してしまったら困るなあ。

放送予定は今のところBSスカパーしか発表されていないのがじれったい。
早くスカパーHDでも楽しめるようにして下さい。
お願いしますよ、スカパーさん!

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必殺仕置人


たまたま見てしまった「必殺仕置人」。
必殺シリーズの第2弾にして、藤田まことの中村主水初登場。あまりの面白さに今さらながら夢中なのです。
シリーズ全体としての楽しさもさることながら、第1話の出来は他と一線を画す衝撃的な作品に仕上がっていました。
テレビドラマとして語られるだけではもったいない!
独立した短編映画としての完成度を備えていて、ほんの少し手を入れてしまえば世界的な映画祭で賞を獲得するのではないかと思わせます(そもそもフィルム撮影のような気がする)。

まず、細部にこだわったセットと意表を突くカメラワークの組み合わせが異様なリアル感を生みだし、画面のこちら側に厠、土くれ、血糊の臭いまで伝わりそうです。
そして、臭いと言えば藤田まこと、山崎努、沖雅也、野川由美子、秋野太作の胡散臭いこと!
見ない振りで蓋をしたくなるような人間の嫌らしさを「ほら、どうだ」とばかりに突きつけるのです。
この主役たちを含めた全登場人物が肩に背負った人生を感じさせる好演で、さらにセット、撮影、音楽、エンドロールなど、制作に関わった全スタッフの熱気が火傷しそうなほど熱く熱く伝わってくるんだなあ。

そして、仕置きする側とされる側は同じ種類の悪人なんだという主水の認識。
悪い奴らを始末するにはその上を行く悪人にならなければならないとする覚悟が見事です。
これは見なくちゃ損ですよ。

忘れちゃいけない、菅井きんと白木万里。
婿殿への当てつけ演技は第1話にして熟練の域に達していました!

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