ツインピークス・ザ・リターン
放送は1年前ですが、ようやく見終わりました。これ、オリジナルドラマのファンでも相当数の人がついて行けなかったのではないかと想像されます。
リンチは何らかのメッセージを視聴者に伝えようとしているわけではない。これが今回ドラマも含め、長年リンチ作品を楽しませてもらった私の感想です。謎めいた場面ばかりで、見る側はそこに意味を探ろうとしますが、実は隠された意図などないのです(たぶん)。
表現欲求が旺盛で人並み外れた技法を有しているために、ついつい不可思議なシーンを作りすぎてしまうのだと想像します。技術力を駆使したくて仕方ないのでしょう。視聴者も頭の中が「?????」だらけになっても、圧倒的な映像の魔力に抗えない。
この体験って何かに似てると思ったら、現代アートを目にしたときの感覚に近いものがあります。強い意志と技術力は感じるけれど、(私には)普遍的価値が感じられない。ただ、前衛芸術は時代が移れば異なる評価を受けるものです。ツインピークスを含めたリンチ作品が20-21世紀の傑作と呼ばれる日が来ないとも限らないですよね。
そうそう、今回シリーズにひとつだけ古典的物語の要素がありました。エドとノーマとネイディーンの三角関係に決着がついたのです。この3人の物語を縦軸にツインピークスを再構築したら総合小説的世界が立ち上がりそう。
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