Un gato lo vio −猫は見た

映画やらスポーツやら小説やら、あれやこれや。
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おやすみなさいを言いたくて

世界の紛争地区で報道写真を撮り続けるレベッカ。誰かが真実を伝えなければならないという強い衝動を家族が理解していると思っていたが、夫も2人の娘も彼女が死亡する可能性に怯え続けていた。
 

報道写真家であるより家族を選ぼうと一度は決意するものの、彼女の中にある「怒り」が収まることはなく、再び紛争地へ向かうことに。しかし、長女との関係修復を果たしたレベッカは、これまでどおり冷静な目で取材対象を見ることができるのだろうか。
 

正義感と家族への愛の間で揺れ続けるレベッカ。報道写真家としての資質を失うかのようなエンディングでしたが、私は彼女が立ち直り、最終的には仕事を選ぶような気がします。
 

人の仕事観は大別して2つ。仕事のために生きるか、それとも、生きるために仕事をするか。どちらが正解ということはありませんが、仕事観の違う2人が家庭を持てば、そこが紛争地帯になることは避けようがありません。
 

レベッカの正義感は間違っていない。そして、妻であり母親である彼女の身を案じる家族の気持ちもまっとうなものです。ただ、それは共存できない。相容れない理性と感情が切ない人の世です。

 

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危険なプロット

生徒の稚拙な作文にうんざりしていた高校教師のジェルマンは新学期を迎え、クロードが提出した課題に惹きつけられる。友人の家庭をのぞき見的に描写した文章に才能を感じたジェルマンは熱心な指導を行いながらその虜となり、ミイラ取りがミイラになってしまうことに…

人の心の奥にあるものを見透かし、手玉に取ってしまうティーンエイジャー。こんなやつがいたら嫌だなあ。私は歳は食っているけれど、絶対に操られてしまう。

オゾン監督の映画には独特なアクがあるけれど、私の好みには良く合いまして、既に何作も楽しませてもらいました。
キャスティングも好みです(過去はランプリングとドヌーヴが良かった)。学校では尊大な態度を取りながら、家庭では従順な夫を演じるファブリス・ルキーニ。見る者に嗜虐心を芽生えさせるようなとぼけた味わいがナイスでした。

 

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僕とカミンスキーの旅

カンディンスキーと混同しそうな名前、そして各界著名人(ピカソ、ダリ、ビートルズ等々)と共に収まった写真の数々。予告編を見た後で「カミンスキー」と検索した私は、既に欺されていたのでした。ははは、こういうの大歓迎です。

そんなウソの匂いが紛々、さらに登場人物たちは鼻持ちならない癖のある人物ばかり。なんだか、現代アートシーンを揶揄しているみたいだな。

キャリアはないけれど、名を上げたくて仕方ない自称ジャーナリストのツェルナー君。図々しいくせに妙にナイーブな性格が人をイライラさせます。けれど、妙なことにカミンスキーは彼を「唯一の友だち」と感じてしまうからあら不思議。

実はこの二人、年の差と立場の違いこそあれ、成功したいという強烈な欲望や愛する女性に逃げられるという境遇が瓜二つ。カミンスキーはツェルナーに若い頃の自分を見ていたのかもしれません。

初めて海を訪れたカミンスキーが暮れゆく浜辺に座り込んで動こうとしないシーン。成功した後、世間に忘れられゆく境遇を示しているようで、もしかすると似たもの同士のツェルナーも同じ運命を辿るのかも。ばかばかしい映画の最後はほろ苦く締められているのでした。

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学生たちの道

1943年、ドイツ軍占領下のパリ。17歳の高校生バリー君は品行方正を装いながら、親の目を盗んで親友ポールとやんちゃのやり放題。年上の女といちゃつくわ、闇商売で大儲けするわと、一人前を気取っているのですが、やがて家族に嘘がばれ、親子関係がこじれることに…

若きアラン・ドロンの瑞々しさが眩しいコメディタッチの成長物語でした。親子関係を巡る葛藤もありますが、そのテーマを掘り下げているわけではなく、あくまでドロン(そして相方フランソワーズ・アルヌールなど)の存在そのものがこの映画の見どころだと思います。

それにしても、ナチス占領下だというのにパリジャンは楽しそうに日々の生活を送っています。物資は不足気味ですが、それでもカップルがドイツ兵の前でいちゃついてみせたり、レストランで敵将と共に酒を酌み交わしたりするんですよ。実際にそんなことが可能な雰囲気だったのかな?

 

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戦争と平和

原作はもちろんトルストイ。分厚さに怯えて未読だったため、映画で済ませてしまおうと目論んだものの、こちらも4時間弱の作品。いやあ、腰が痛くなってしまいました。

トルストイが小説で何を描こうとしたのか未読の今は分かりませんが、映画の方はラブストーリーに重きが置かれていたように感じます。オードリー・ヘプバーン、ヘンリー・フォンダ2人の共演を堪能できればそれで良し、かな。

美しく生まれるということは不幸なことなのかもしれません。ヘプバーン演じるナターシャは吸い寄せられるように近づく数多の男に次々になびいてしまい、結果として相手も自分も破滅の道へと導いてしまう。しかも、ちょいと人をイライラさせる性格でした(さすがに10代には見えないし…)。

一方、従姉妹のソーニャは健気だった。許嫁(夫?)の心変わりを許し、暴走するナターシャを諫める。叔父宅の再建には文句も言わずに従うなど、パートナーにするならソーニャだと思いました。

ハリウッド映画とはいえ、全員英語でしゃべるのは興ざめですね。戦争を扱っているけれど、基本的には娯楽作品のトーン。やはり原作を読もうと思わせてくれた点でマルとするかなあ。

 

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黒いチューリップ

フランス革命前夜、難を避けて逃げまどう貴族たちを襲う義賊がいた。その正体は「黒いチューリップ」こと貴族のギヨーム。だが、捕縛に躍起となる憲兵隊長に追い詰められて頬に傷を負った彼は、貴族としての生活を偽装するため、瓜二つの弟ジュリアンを呼び寄せることに。共和主義の弟は喜んでその代理を務めるものの、剣の腕前はさっぱり。さて、兄弟の運命やいかに。

アラン・ドロンの一人二役を堪能する活劇コメディでした。天真爛漫で平等な世の中を希望する素直な青年と、自己中心的でふてぶてしい盗賊を演じわけています。引き締まった肉体美もファンにはたまらないところでしょう。

封切りは1964年。この映画の明るさは、おおらかで、未来に希望を抱いていた当時の世相を反映しているのだろうと感じます。主役のギヨームに非業の運命を用意しておきながら、あっけらかんとハッピーエンドに持ち込むんだもんなあ。いつまでも死者を悼んでいても仕方ない、という悟りの境地さえ感じられます(うそ)。

私のお気に入りはギヨームの愛馬「ヴォルテール」号。とても賢く、茶目っ気のある馬なんです。笑うことだってできるんです。主人に忠誠を尽くすラストシーンはお見逃しなく!

 

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イル・ポスティーノ

あこがれの作家専任の郵便配達人(あるいは、料理人、ハウスキーパー、医師等々)という立場を手に入れたらどうするだろう?
自分の仕事に徹して無駄な口を利かないのが理想だけれど、きっと作品の感想を述べたり、質問したりで煩がられ、そのうち首になってしまうだろうな、などという妄想をかきたてられる映画でした。

ナポリ湾の小さな島で暮らすマリオ・ルオッポロ君は漁師の生業を嫌い、たまたま募集中だった郵便配達の仕事を引き受けることに。届け先は、共産思想故にチリを追われてこの島に仮住まいすることになった世界的詩人ネルーダの住まいただ1軒。

毎日どっさり届く郵便の差出人は女性ばかり。さては、詩人はもてると勘違いしたルオッポロ君。その秘訣を手に入れようとネルーダに近づくうち、やがて人の心を揺さぶる詩の美しさに魅了され、自ら言葉を紡ぎ始めるのでした。

偉大な詩人と一介の郵便配達人(ポスティーノ)のすてきな交流でした、世界を見る新しい目を獲得したルオッポロ君良かったね、で終わらせても良かったのだろうけれど、この映画はもう一ひねりありました。そう、やっぱり良いことばかりは続かない。

数年後に島を再訪したネルーダは、ルオッポロ君との再会がかなわず、途方に暮れてしまうのです。自分の手ほどきが彼の心を豊かにしたことは間違いありません。でも、それと引き替えに、あるいはそのせいで人生そのものは豊かになり得なかった。
出会いの不思議さ、人の世の残酷さをかみしめるようなネルーダの姿が心に残ります。

 

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キリマンジャロの雪

港湾荷受会社の元労働委員長だったミシェルと妻は、義妹夫婦と夕食中に強盗に襲われ、結婚記念のケニヤ旅行券、クレジットカードなどを奪われます。偶然をきっかけに知った犯人は、なんと元同僚。告発に踏み切るものの、犯人には養い手のいない幼い兄弟がいた…

善意が通じないって哀しく、そしてむなしいものです。犯行に及んだ元同僚は、決断に至ったミシェルの苦悩を全く理解しないどころか、悪意さえ抱いてしまいました。
おそらく、私だったら強盗犯の弟たちを引き取ることはしないでしょう。仮に良心の呵責が芽生えたとしても、関係施設に連絡を取っておしまいにするだろうな。

でも、ミシェルとマリ=クレールの夫婦は違った。犯人の弟だと知った上でなお、幼い彼らの身を案じ、あれこれ世話を焼こうとするのです。自分たちだって決して裕福というわけではないのに。

夫妻の子ども達は、被害者が犯人の家族を世話するなんて考えられないと非難します。私もそれが普通の感情だと思うし、2人の行動はむしろ幼い兄弟をスポイルするのではないかと首を傾げたくなりました。

それでも、自分たちを襲った兄と弟たちは別。苦境にある者に手をさしのべずにいられない夫婦のあり方は、ドライに人間関係を処理しがちな私の心に一石を投じることになりました。

ああ、でもねえ…
人間の本性は善だと信じたいし、実際にそのような人も多いけれど、その逆もまた同様で、なかなか映画の夫婦の境地に達することは難しそうです。そうありたいけれど。

てっきりヘミングウェイの同名小説が原作かと思いきや、ユゴーの詩に触発された作品だとか。

 

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ミス・シェパードをお手本に

神父の命に背いたとして修道院を追われたマリアは、古ぼけたバンを住まいとし、ロンドンの通りを転々とする生活。そんな彼女を見かねた劇作家のベネットは自宅庭先に招き入れ、つかず離れずの交流がなんと15年も続くことに。

ほんわかしたコメディとして仕上げられていますが、実はかなり心塞がるお話です。
親切なご近所に見守られて良かったね、ということではないし、ポスターの謳い文句である「英国式シアワセ生活」とはほど遠い内容。決してお手本にしようとは思えない。

彼女は自由に生きたわけではないのです。ミス・シェパードと名を偽った路上生活は逃亡者として怯えているから。しかも、罪の意識に苛まれ続ける毎日です。想像するだけでも気が変になりそう…

その理由が自分の勘違いから生じていることも哀しいです。コメディとして表現しなければ、悲惨すぎるというところではないでしょうか。エンディングの表現もしかり。映画の明るさは、辛い人生を送ったマリアを救いきれなかった原作者ベネットの罪滅ぼしのように感じます。
 

ショパンのピアノ協奏曲が悲しく響くなあ。

 

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リスボンに誘われて

人生の退屈さに失望するスイスの高校教師ライムントは、偶然手に入れた書物に心奪われ、若くして亡くなった著者の生涯を知ろうとリスボンの関係者を訪ね歩くことに。やがて明らかになるのは独裁政権下で闘ったレジスタンス同士の友情と裏切り。同志の間に何が起きたのか。

全貌を明らかにしたライムントは、疑心暗鬼に陥って関係を断絶した同志たちの心を再び結びつけてくれたように思います。一方、彼らの人生に比べて、やはり自分の人生は無意味で退屈だと失望の念は深まるばかり。

しかし、ライムントは衝動的にリスボン行き列車に飛び乗ってしまう情熱家の一面を持ち合わせています。現地で調査の手助けをしてくれた女性が熾火のようにくすぶっていたライムントの心の熱に惹きつけられ、魅力的な提案を投げかけたことがその証しです。
決して退屈なだけの人生などない。ライムントと共に静かに励まされるエンディングでした。

それにしても、作者の生涯をたどりたくなるほどに1冊の本に深く共感したことがあるだろうか? 私の情熱はライムントに遠く及びません。

 

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