Un gato lo vio −猫は見た

映画やらスポーツやら小説やら、あれやこれや。
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角田山から樋曽山へ 西側斜面は花畑

3月最後の日曜日、好天にも恵まれ、春の訪れを確認するためにいつもの角田山へ。
いやはや、予想通り大変な賑わいでした。もちろんお目当ての花もそこここに。私が上り下りした五ケ峠コースは、東屋付近まで雪割草、キクザキイチゲ、つぼみ状態のカタクリが目を楽しませてくれました。

下山後もなにやら体力に余裕があったので、駐車場の向かい側斜面を登るおじさんたちの後をついて行ってみることに。ぬかるんだ杉林の急斜面を登り切ると、なななんと、そこは花畑。角田山とは比べものにならない密度で色とりどりの可憐な花が咲き誇っているではありませんか。
 

無粋な私もさすがにうっとり。おじさんたちと同じように(いや、私もおじさんですが)地面に這いつくばって造形の美しさ、色彩の豊かさを堪能したのでした。
こちらはみんなカメラ持参。知る人は知っているんだなあ。

 

このあと調子に乗って間瀬峠まで往復しようとしたものの、水しか持っていなかったため、樋曽山を超えた先で断念。ただ、この縦走路も陽当たりの良い西側斜面はいたるところに雪割草、カタクリ、イチゲが顔を出していて、お弁当を広げるに良さそうな場所もちらほら。
来年はこちらをメインに多宝山まで行こうと思うのでした。

 

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キリマンジャロの雪

港湾荷受会社の元労働委員長だったミシェルと妻は、義妹夫婦と夕食中に強盗に襲われ、結婚記念のケニヤ旅行券、クレジットカードなどを奪われます。偶然をきっかけに知った犯人は、なんと元同僚。告発に踏み切るものの、犯人には養い手のいない幼い兄弟がいた…

善意が通じないって哀しく、そしてむなしいものです。犯行に及んだ元同僚は、決断に至ったミシェルの苦悩を全く理解しないどころか、悪意さえ抱いてしまいました。
おそらく、私だったら強盗犯の弟たちを引き取ることはしないでしょう。仮に良心の呵責が芽生えたとしても、関係施設に連絡を取っておしまいにするだろうな。

でも、ミシェルとマリ=クレールの夫婦は違った。犯人の弟だと知った上でなお、幼い彼らの身を案じ、あれこれ世話を焼こうとするのです。自分たちだって決して裕福というわけではないのに。

夫妻の子ども達は、被害者が犯人の家族を世話するなんて考えられないと非難します。私もそれが普通の感情だと思うし、2人の行動はむしろ幼い兄弟をスポイルするのではないかと首を傾げたくなりました。

それでも、自分たちを襲った兄と弟たちは別。苦境にある者に手をさしのべずにいられない夫婦のあり方は、ドライに人間関係を処理しがちな私の心に一石を投じることになりました。

ああ、でもねえ…
人間の本性は善だと信じたいし、実際にそのような人も多いけれど、その逆もまた同様で、なかなか映画の夫婦の境地に達することは難しそうです。そうありたいけれど。

てっきりヘミングウェイの同名小説が原作かと思いきや、ユゴーの詩に触発された作品だとか。

 

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ミス・シェパードをお手本に

神父の命に背いたとして修道院を追われたマリアは、古ぼけたバンを住まいとし、ロンドンの通りを転々とする生活。そんな彼女を見かねた劇作家のベネットは自宅庭先に招き入れ、つかず離れずの交流がなんと15年も続くことに。

ほんわかしたコメディとして仕上げられていますが、実はかなり心塞がるお話です。
親切なご近所に見守られて良かったね、ということではないし、ポスターの謳い文句である「英国式シアワセ生活」とはほど遠い内容。決してお手本にしようとは思えない。

彼女は自由に生きたわけではないのです。ミス・シェパードと名を偽った路上生活は逃亡者として怯えているから。しかも、罪の意識に苛まれ続ける毎日です。想像するだけでも気が変になりそう…

その理由が自分の勘違いから生じていることも哀しいです。コメディとして表現しなければ、悲惨すぎるというところではないでしょうか。エンディングの表現もしかり。映画の明るさは、辛い人生を送ったマリアを救いきれなかった原作者ベネットの罪滅ぼしのように感じます。
 

ショパンのピアノ協奏曲が悲しく響くなあ。

 

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もうすぐ春 角田山の雪割草

青空に誘われて早春の角田山へ。

汗もかかず気持ちよく登れますが、中腹から上は所々に雪が残り、海からの風が坊主頭に冷たい。昼前後でも登山者はそれほど多くなく(山頂で20人ほど)、まだ春は先だな、と思っていたところ、枯れ葉が積もるふもと付近の林の中にぽつんと白い花が一輪。

 

近づいてみると、なんと、雪割草ではありませんか。

辺りを見渡しても他に咲いている花はなし。私と同じように青空に誘われ、おもわずフライングしてしまったのでしょう。

おかげで、もうすぐ春だと心が浮き立ってくるのでした。

 

きっと、あと2週間くらいで角田山は可憐な花がそこここに顔を出し、大勢の登山者が訪れるでしょう。今度は仲間と一緒にお花見といきたいものです。

 

 

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リスボンに誘われて

人生の退屈さに失望するスイスの高校教師ライムントは、偶然手に入れた書物に心奪われ、若くして亡くなった著者の生涯を知ろうとリスボンの関係者を訪ね歩くことに。やがて明らかになるのは独裁政権下で闘ったレジスタンス同士の友情と裏切り。同志の間に何が起きたのか。

全貌を明らかにしたライムントは、疑心暗鬼に陥って関係を断絶した同志たちの心を再び結びつけてくれたように思います。一方、彼らの人生に比べて、やはり自分の人生は無意味で退屈だと失望の念は深まるばかり。

しかし、ライムントは衝動的にリスボン行き列車に飛び乗ってしまう情熱家の一面を持ち合わせています。現地で調査の手助けをしてくれた女性が熾火のようにくすぶっていたライムントの心の熱に惹きつけられ、魅力的な提案を投げかけたことがその証しです。
決して退屈なだけの人生などない。ライムントと共に静かに励まされるエンディングでした。

それにしても、作者の生涯をたどりたくなるほどに1冊の本に深く共感したことがあるだろうか? 私の情熱はライムントに遠く及びません。

 

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痴人の愛

増村監督の同名映画は小沢昭一の怪演が光り、最後の最後で純愛の物語へ転換させる監督の腕前にうならされました。一方、原作のナオミは妖婦を、譲治はマゾヒスティックな態度を貫き通しています。あくまで自由奔放な女とひれ伏し続ける男。増村さんは譲治君を哀れに思い、救いを用意したのかな、と感じますね。

ただ、小説の譲治君に救いは無要。自分が目をつけ、理想にかなうよう教育を施し、そして想像以上に花開いてくれた女です。淫蕩な性格まで育ってしまい、嘘を重ねながら大勢の男と関係を持つようになってしまったことは計算外でしたが、西洋人のような容姿や魅惑的な足(脚)に抗うことは不可能なのです。

譲治君にとってナオミは神なのでしょう。古今東西あまた存在する(?)神様の例に漏れず、ナオミ神もとても意地悪です。無条件の崇拝を受けながら、与えるものはわずかな恵みと多大な厄災。でもだからこそ、振り向いてもらえたときには恍惚感を覚えてしまうのでしょう。

谷崎潤一郎を読み続けていくと、人にはある種の力に盲従したくなる傾向が隠れているのだな、と感じるようになります。今は人の命に従うことが難儀だと感じている私も、もしかしたら何かをきっかけとして、そこに悦楽の境地を感じてしまうかもしれない。おお、やだやだ。怖い作家です。

 

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アスファルト

日々の暮らしに絶望するほどではないけれど、なんとなく人恋しいことってありますよね。
この映画は、若干の寂しさを抱えた3人の団地住人が、同じ日にそれぞれ出会いに恵まれ、ほんの一時心を通わすお話しです。

その出会いにドラマチックな要素はなく、大きく発展することはなさそうです。実に地味。自分の身に起こったとしても、誰かに話したくなるほど心が浮き立つこともないでしょう。

でも、等身大で描かれる登場人物たちの心の動きは、ささやかだけれど手に取るように感じられます。リアリズムを少しばかり無視した設定(宇宙飛行士が降ってくる、意識を失ったまま100キロもエアロバイクをこいでしまう)によって、人の心の本質をむしろリアルに際立たせるようです。映画の絵面としても面白い。

たとえ短い時間だとしても、誰かが傍にいるってすてきなことです、きっと。

そうそう、映画内で「マディソン郡の橋」がテレビに映し出されるんだけれど、甲高いフランス語吹き替えのイーストウッドが笑えました。

 

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きもの 幸田文

その昔、呉服販売にも携わったことがあり、なんとなく着物のことは知っているつもりになっていました。でも、着心地については考えたこともなく、肌触りを重視する主人公るつ子の着物選びに目から鱗が何枚も落ちることとなりました。
なるほど、肌に触れる感触は重要ですよね。実際に身にまとったことがない故の盲点でした。

大正末期の東京下町で両親、祖母、2人の姉と暮らするつ子の物語。着物への接し方を通して彼女の成長を見届けることになるのですが、実に清々しい読後感です。
美しい心の持ちようを記録したような小説で、読んでいると、自然に背筋が伸び心が澄み渡るのを感じます。

るつ子の世界観を正しい方向に導くのは、小利口でさもしい根性を嫌う祖母。決して高圧的ではなく、時宜にかなった適切な教えは、読み手の私の心にも素直に響くのでした。
なんだか、るつ子と机を並べながら世の中のことを学んでいく気分です。ああ、覚悟して服を着たことなんかなかったなあ。

 

この小説、中身もさることながら、装丁も素晴らしかった。まさに着物をまとっているようで、手に取る楽しさも格別でした。文庫やデジタル本では味わうことのできない贅沢です。これが100円だなんてねえ。

 

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ジャニス 〈リトル・ ガール・ブルー〉

ジャニス・ジョプリンの生涯を当時の映像、関係者の証言、そして両親に宛てた本人の手紙でたどるドキュメント。
破天荒な行動を取り続けたのは何故なのか、頂点を極めようとする情熱はどこから生まれたのか。

既に見た人から聞いた通り、本人の手紙が効いていました。ジャニスは日々の充実ぶり、成功の喜びを得意そうに書き連ねますが、そこには親の関心を惹きつけたい必死さが漂っていました。

「娘の希望を叶え、やりたいことはなんでもやらせた」と両親は語っていたようです。でも、もしかしたら、それはただの放置だったのかもしれない。ジャニスの手紙に対する返信を1通も紹介しないことがそれを暗示しているように感じます。

無鉄砲な行動でさえ両親の注意を惹きつけられなかった。だから今度は誰もが認める頂点に立った。
「ねえ、褒めてちょうだい、私頑張ったでしょう」
そんな声が聞こえるような気がして、スクリーンを正視することができませんでした。

存命だったら、どれほど素晴らしい歌い手になっていただろう。早過ぎる死が今さらながら惜しまれてなりません。

 

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NHK交響楽団 新潟公演(1月7日)

年の初めにふさわしく、明るく活気に満ちたプログラム。「フィガロの結婚」序曲は、これから1年、楽しいことが待っていますよ、と告げているようでしたし、「ピアノ協奏曲第9番」では、ソロ部分で小曽根さんがまさかのジャジーなアレンジ。体が揺れ始めてしまいました。これを聴いたらモーツァルトも喜びそうです。

「新世界より」では弦楽器に圧倒されました。バイオリンの華やかな旋律とそれを支える中低音の厚みが圧倒的。聞き惚れてしまいました。
聴かせどころたっぷりのホルンもかっこええ。一緒に出かけたトランペット吹きは「ホルンに変えようかな」とつぶやいておりました。

アンコールの「ピツィカート・ポルカ」は指揮の広上さん曰く「お年玉」とのこと。ウィーンフィルのニューイヤーコンサートではおなじみの曲。新年らしく楽しかった。

 

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